法実践プログラム(LPP)
法実践演習Ⅰ-1(実務家と民法を考える)
理論と実践で活きた学問を
理論と実践を両立し、活力に満ちた学問の場を作りたいという思いからこの授業を立ち上げました。
プログラムの内容
2015年度は、民法教員(研究者)と実務家である弁護士の2名が授業を担当しました。重要な民事判例をピックアップし、研究者と実務家の目線で判例を素材に次のような流れでディスカッションを行いました。
- 判例の事実関係を整理します。
- 原告、被告それぞれの立場に立ち、どのルールを使ってどんな主張が可能かを自分の頭で考え、意見を発表します。
- 実際の判決文を読み、意見を交換し、望ましい解決とは何かを議論します。
どんなことが学べるのか?
- 生きた法の使い方を知ることが出来る
- 取引社会の仕組み、紛争の発生する原因、訴えの相手を誰にすればよいのか、訴訟での証明の方法など、実社会における法の使い方を知ることができました。
- 問題解決能力の向上
- 答えは一つとは限りません。結論とその結論に至る理由が説得的であることが重要です。教員側のメッセージを理解してくれた受講生が、ヒントのない状態で「私は○○という人を、民法○○条を用いて、損害賠償を請求します。」と、ゼロから自分の思考を論理立てて、オリジナリティにあふれ、誰もが納得する意見を述べてくれました。
模擬裁判
締めくくりとして模擬裁判を行いました。受講生全員と弁護士の先生1名が、訴状と答弁書を作成するところからスタートし、訴訟形式で意見を戦わせました。それぞれの主張がどれだけ説得的であるかを競い、OB・OGを含む3名が裁判官(裁判長、右陪席、左陪席)としてジャッジを行いました。
比較的近時に下され、社会的にも大きな関心が寄せられている判例を素材に「認知症患者の鉄道事故では遺族が責任を負うべきなのか?」を巡って模擬裁判を実施しました。
受講生も遺族側の代理人として善戦しましたが、鉄道会社側の代理人である弁護士の先生の力量にあと一歩及ばずといったところでした。
まとめ
今年度のプログラムを通じて、私達は多くのことを学ぶことができました。
今年度も深く判例を理解することができました。実践的に「誰が、誰に、どんな理由で、どのような救済を求めて」訴えを提起するのかを議論していく中で、自分の力で考える重要性を学びました。また、私達がなかなか知ることができない実社会の経済の仕組みと法律の関係や、訴訟における証明の意義など実務家教員の担当するプログラムならではの生きた知識を身につけることができました。
受講生の感想
- LPP民法は法の専門家である弁護士を交え、判例を用いて授業を行いました。授業の中では主にグループワークを行いました。グループワークでは友達と判例に関してレベルの高い意見を共有することが出来ました。さらに、OBの先輩からも多くのアドバイスを頂けて、自分の力をのばすことが出来ました。また、授業中の発言においても弁護士の先生から為になる知識を学べました。そしてメインである模擬裁判では弁護士の先生と本気で戦うことが出来てとても有意義な時間になりました。自分の実力が伸びたこととメンバーの人とも仲良くなれたのでLPPに参加して良かったです(増田伊吹さん)。
- 今回の授業を通じて、自分の詰めの甘さを実感することができた。模擬裁判では弁護士の方に一方的にペースを握られ、思うような討論を展開することができなかった。これが実践的な討論の形だと知り、自分たちの展開したい論点に要点を絞り、不利な話を見極める事の重要性が分かった。この授業でしか体験できない貴重な経験や知識、発言力を身に付けることができ、とても有意義な時間だった(林慎太郎さん)。
- この授業の魅力としてはなんといっても弁護士の方と授業をできるところです。最初は弁護士の人の授業は、堅苦しく難しい授業と思っていましたが、全然そんなことなくとても明るくて楽しい授業でした。少人数の授業なのでわからないところはすぐに法律のプロである弁護士の先生に質問できるし、また普段では目にすることができないような資料も見ることができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。なにより受講している仲間たちのレベルや意識が高いので、話し合いのレベルも高いくやりがいもあるし、それぞれ視点も違うので、とても面白くて視野も広がりました。この授業での経験を今後にも活かしていきたいです(青柳裕大さん)。
法実践プログラム(LPP)