法実践プログラム(LPP)

法実践講義Ⅱ-1(IR実践論)

この授業では、最初に、国際関係論(International Relations:IR)の主要課題である日本の人権外交、多文化共生及び難民支援に関する基礎知識を学んだ後に、国際公務員・国家公務員・地方公務員・NGO/NPO構成員・弁護士として、実際に日本の人権外交、多文化共生及び難民支援を実践している講師がそれぞれの関係する分野の現状と課題に関する講義を行い、授業内容に関する理解を深めさせました。(なお、講師のご所属は授業当時のものです。)

「アムネスティ・インターナショナル日本」

4月15日(13:10~14:40)

アムネスティ・インターナショナルの活動に対する理解を深めるために、アムネスティ・インターナショナル日本の久富惠雄さんにアムネスティの概要及び活動紹介、アムネスティから見た日本政府の人権政策について、具体例を交えながらお話しいただきました。


「PKO・特別政治ミッションのマンデートと紛争地における人権人道法の履行」

4月22日(13:10~14:40)

国連の平和活動における人権人道法の位置づけに対する理解を深めるために、国連アフガニスタン支援ミッションの別段智信さんに国連職員から見た人権の基本的性質、PKO・特別政治ミッションにおける人権関係の多種多様なマンデートの紹介、マンデートにある個別の条項(民間人保護[Protection of Civilians]、子供の保護、ジェンダー間の平等、和平プロセスとのバランス、不当な拘禁など)についてお話しいただきました。

「国境と外国人に関する行政の法制度と実務」「出入国管理行政の制度と実践」

5月13日(13:10~14:40・16:40~18:10)

法務省大阪法務局(元大阪入国管理局)の大西広之さんに、前半は国境と外国人に関する行政の法制度に対する理解を深めるために、国籍・パスポートに関する基本事項をご説明いただいた上で、出入国管理の組織・機構、入国審査官の行う審査、近時の出入国管理業務の施策についてお話しいただきました。 また、後半は、日本の出入国管理行政制度に対する理解を深めるために、外国人受入れの基本方針、在留資格制度について、実践例を交えながらお話しいただきました。


「愛知県における多文化共生~ともに生き ともに輝き ともに創る~」

5月20日(13:10~14:40)

愛知県の多文化共生社会づくりに対する理解を深めるために、愛知県地域振興部多文化共生推進室の大橋充人さんに、日本・愛知県で暮らす外国人の現状、多文化共生の意味、愛知県の施策のポイント、テーマ別取組(教育、日本語、労働、相談、医療、防災、連携・協働、理解促進)、多文化共生推進体制についてお話しいただきました。


「日本の人権外交」

5月20日(16:40~18:10)

日本の人権外交に対する理解を深めるために、外務省総合外交政策局人権人道課の鈴木律子さんに、国際人権メカニズム(人権外交は、どこで、どんなふうに行われているか?誰が主役か?)、日本の対応(日本は人権先進国か?)、難民問題への対処(日本は難民受け入れに消極的か?)などについて、具体例を交えながらお話しいただきました。
(講座の様子は、こちら(外務省ホームページ)でも閲覧できます。)


「アイヌ政策を巡る昨今の状況について」

5月27日(13:10~14:40)

日本政府のアイヌ政策に対する理解を深めるために、国土交通省北海道局総務課アイヌ施策室の蹴揚秀男さんに、アイヌの人々・文化と歴史、我が国のアイヌ政策の概要、最近のアイヌ政策の動向、先進国が施策を講じている主な先住民族などについてお話しいただきました。

「外国人の人権擁護」

6月10日(13:10~14:40)

日本における外国人の人権に対する理解を深めるために、弁護士の宮崎真さんに、在留外国人の推移をご説明いただいた上で、国籍と在留資格の違い(帰化、二重国籍・認知)、在留関係の訴訟、「外国人の人権」の特徴、人権の性質について、ご自身の実務経験をもとにお話しいただきました。


「難民の法的支援の事例検討を通して「難民」への理解を深める」

6月24日(13:10~14:40)

難民認定手続きの法的支援に対する理解を深めるために、名古屋難民支援室の羽田野真帆さんに、ラジオ番組「NHKジャーナル」の特集や難民支援協会及び名古屋難民支援室が2013年に作成された「セルフ‐ヘルプ・キット」にある具体例をもとに、日本における難民支援の実態や難民認定手続きにおける論点について議論しました。


「私の難民支援活動」

7月1日(13:10~14:40)

日本国内における難民支援活動に対する理解を深めるために、名古屋難民支援基金の津田秀一さんに、日本に来た難民の苦難、入管収容施設(参観・面会)、病院護送時の手錠・腰縄問題、難民支援活動について、ご自身が支援された体験を交えながらお話しいただきました。


「名古屋市の多文化共生施策について」

7月1日(16:40~18:10)

名古屋市の多文化共生施策に対する理解を深めるために、名古屋市観光文化交流局観光交流部の岡部克矢さんに、統計にみる名古屋市の多文化共生の現状、多文化共生の意義、名古屋市多文化共生推進プラン・実施計画の概要、第2次名古屋市多文化共生推進プラン、多文化共生関連事業について、名古屋市観光文化交流局国際交流課と名古屋国際センター(NIC)の活動を交えながらお話しいただきました。


「日本の難民認定制度」

7月8日(13:10~14:40)

日本の難民認定制度に対する法的理解をさらに深めるために、弁護士の川口直也さんに、「難民」の定義、難民認定手続(出入国管理及び難民認定法、2005年施行入管法改正、難民認定申請手続、退去強制手続との関係、補完的保護[在留特別許可]、取消等訴訟、執行停止、再度の難民認定申請)、現在の日本の難民認定の問題(法務省発表「平成27年における難民認定数等について」を受けてのコメント、実務上の問題、難民認定申請手続上の問題等)についてお話しいただきました。


「日本の国際機関を通じた難民支援」

7月8日(16:40~18:10)

日本の国際機関を通じた難民支援に対する理解を深めるために、外務省国際協力局緊急・人道支援課の熊倉彩さんに、難民の定義、最近の世界の難民を巡る状況、難民支援を含めた人道支援、国際機関(UNHCR・UNRWA)を通じた難民支援について、ザンビアやモーリタニアの具体例を交えながらお話しいただきました。
(講座の様子は、こちら(外務省ホームページ)でも閲覧できます。)


履修者の感想(一部抜粋)

  • 現在世界で問題となっている国際関係を、学生の私たちに分かりやすく説明して下さったことで、人権外交や多文化共生、難民支援について興味を持つことが出来ました。この講義を受講するまで上記の3点についてメディアが取り上げていたことは知っていましたが、自分の中に知識がほとんどなかったので、知識を身に付ける良いきっかけになりました。今後も、メディアや他の講義でこれらの話題が論点に出てきたら、その問題に目を向けて、自分なりに学習を深めていきたいです。また、講義で来て下さる実務家の方は日本の国際社会に対しての取り組みや世界と日本の外交について最先端の情報を提供して下さりました。従って、他学部や他大学では体験することが出来ない講義を展開して頂いたので、貴重な時間を過ごすことが出来ました。そして、講義では実務家の方が来て下さる前に、事前授業を行って頂いたことにより、基本的な知識が身に付いた上で、実務家の方のお話を聞けたので、より理解を深めることが出来ました。他にも実務家の方の中には、パワーポイントを全て、アップロードして頂いた方もいらっしゃったので、講義後の復習に取り組み易く、確実に知識を身に付けることに役立ちました。
  • 今まで関心のなかった分野について、専門の実務の方にお話をうかがえる貴重な時間を過ごせて、その分野に関連した知識や時事についても知ることができた。また、その分野に関連する、今起こっている国際的な情勢や問題点を考えることができ、この授業をとるまでの自分の知識の量が信じられない位、たくさんのことを知ることができてとてもよかった。この授業を取らなかったら、人権外交や多文化共生、とくに難民支援については知らないことばかりで考えたこともなかったので、その面からも、自分の視野が広がり、親ともたくさん時事の話もできるようになりとても身になった。聞いたことがある、というだけでも何も知らないよりずっとかいいから、そういう普段の自分では関心を持っていなかった分野のことを知れてよかった。

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