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4専攻

社会学専攻大岡頼光 教授

研究教育フィールド教育・家族とライフコース

身近な疑問にこそ、未来を描くヒントがある。

私の祖母は母に介護されながら亡くなりましたが、両親は他人様に迷惑をかけてはいかんと、公共の介護サービスは使いませんでした。また、親の介護で生活が行き詰まり、親を殺す介護殺人事件も起こっています。この背景には、「子が親の面倒を見るのが当たり前」という日本人の思い込みがあります。では、この考えはどこから来たのか?祖母の介護と死をつうじて疑問をもった私は、日本人の死生観からこの疑問を解こうと研究を始め、福祉大国といわれるスウェーデンとの比較を続けました。

その結果、スウェーデンでも「介護は社会の責任だ」と、もとから考えていたのではないことがわかりました。スウェーデンは1960年代に奨学金を充実させ、親から子への経済的援助は一切無しで、大学で勉強できる制度を創りました。そのあと徐々に、「親子がお互いを頼る必要はない」、「親の希望を子に押し付けてはいけない。自由に進路を選択できるようにするべきだ」と考えるようになったのです。一方、日本では、子が生まれてから就職するまで親から経済的援助を受け続けるため、親への恩を感じます。それが「親の面倒は子が見るるもの」、「親の言うとおりにしなければ」という考えにつながっている可能性があります。介護も教育も家族で負担するしかないという考えを、変えなければいえません。日本では親が貧しいと、子の大学進学は困難です。しかし、急激な少子高齢化のなかでは、親の貧富に関わらず優秀な子は奨学金で大学に行けるようにし、高給取りになって多くの税金を納めてもらう必要があります。少子化対策のためにも、大学教育を含めた子育てのコストは社会全体で負担するシステムを創るべきです。介護問題から始めた研究ですが、子育てや奨学金制度等を含む人生全般の福祉政策を考えないと、問題は解決できないと今は考えています。

現代社会学部は、こうした身近な問題への疑問を徹底して突き止め、科学的に解明しようとする学問です。大切なのは自らの経験から発想すること。普段の生活の中で「なぜなんだ?」と怒りや疑問を感じた問題を、あきらめずに考え続けてください。このゼミでは家族と人の一生に関わる福祉対策を研究対象にします。今の日本は、家族も社会もさまざまな問題を抱えています。世の中そんなもんだと、あきらめてはいけません。身近な疑問にこそ、未来を描くヒントがあるのです。