「籾殻炭」にセシウム,ストロンチウムを吸着する高い能力を確認、工学部野浪教授らのチームが日本材料学会東海支部講演会で発表

 中京大学工学部野浪亨教授らの研究チームは、籾殻を400°Cで6時間炭化した「籾殻炭」が放射性物質のセシウム,ストロンチウムに対して高い吸着率を示すことを確認した。3月6日名古屋大学で開催された「日本材料学会東海支部第11回学術講演会」で研究成果を発表した。

 研究チームのメンバーは野浪教授、人工高等知能研究所研究員河村典久氏、情報科学研究科修士2年早川慎吾さん、同1年松原綜一郎さん、工学部機械システム工学科4年鷲見佑介さん、同3年野田光祐さん、同3年小林慎也さん。

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  発表する小林さん

 

 同研究チームは2013年11月に竹炭がセシウム等の放射性物質の除去、除染への実利用の可能性が高いことを確認し発表した。その後も様々な素材を用いて検討を続けた結果、籾殻炭のpHとセシウムの吸着量には高い相関があり、これは籾殻炭表面に残存する酸性官能基にセシウムが吸着するためと考えた。一方、ストロンチウムの吸着には籾殻炭のケイ素の含有量が関係している可能性がある。

 野浪教授は「籾殻炭はゼオライトをはじめとする鉱物とは異なり,400℃程度で燃焼させることができるので,吸着させたセシウム(沸点は670℃)やストロンチウム(沸点は1381℃)だけを濃縮して取り出すことが可能であると考えられます。 今後、放射性物質の除去、除染に対する実用化が期待されます」と語った。

 また籾殻は野焼きなどによる大気汚染や悪臭などの問題などにより大部分が廃棄物として処理されている。籾殻の有効活用の可能性も期待される。

 研究発表を行った工学部3年小林さんは「実験に加わってまだ半年ですが、教授や先輩の助言をいただき、何とか発表できました。籾殻はまだ研究の余地があります。また将来は放射性物質の除去などに籾殻炭が活用されると良いと思います」と抱負を語った。

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籾殻炭を手に説明する野浪教授


 















2017/03/06

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