中京大学と国立嘉義大学 硬式野球部同士の国際親善試合 2戦とも中京大が勝利

  学術交流協定を昨年12月に結んだ中京大学と台湾・国立嘉義大学の硬式野球部同士の国際親善試合第1戦が8月1日、名古屋市のパロマ瑞穂球場で行われた。1931年の夏の甲子園大会決勝で、中京大中京の前身の中京商業学校と嘉義大学前身の嘉義農林が対戦した試合を85年の時を経て、親善試合として再現した。初戦は中京大が7-4で逆転勝ち。2日夕の第2戦(豊田市運動公園野球場)は雷雨のため中止となったが、3日夕の最終戦(豊田市運動公園野球場)は9-2で中京大の勝利となった。

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  試合前、記念写真に納まる中京大と嘉義大の関係者、硬式野球部の選手たち

 

 1931年夏、ともに甲子園に初出場した中京商業学校と嘉義農林学校が決勝で対戦した。結果は中京商業の優勝となったが、両チームの素晴らしい戦いぶりは日台のファンの胸に深く刻まれた。そのことをテーマに制作された台湾映画「KANO 1931年海の向こうの甲子園」が2014年に台湾で封切られ、翌2015年には日本でも公開され、両校の流れをくむ中京大学と嘉義大学の協定締結にもつながっていった。そして今夏、85年ぶりの野球の戦いが、国際親善試合の形で実現されることになった。

 試合に先立って行われたセレモニーで、中京大の安村仁志学長は「日本ではもうすぐ甲子園大会が始まります。両チームの皆さんベストを尽くしましょう」とあいさつ、嘉義大の邱義源学長は「このたび中京と嘉義両大で85年の歴史の縁で試合を実現できたことに感動しています」と述べた。そして両学長は「これからも交流を深め、発展させていきたい」と笑顔を見せた。
 また、梅村清英総長・理事長は「もう一つのご縁がありました。中京大の海外留学生第1号も嘉義農林学校からです。それをきっかけに台湾からの留学生は増え、同窓会の支部も台湾にあります」と話した。


▽1日・国際親善試合第1戦(パロマ瑞穂球場)
 

   1  2  3  4  5  6  7  8  9  計
嘉義大  0  3  1  0  0  0  0  0  0  4
中京大  0  2  0  2  0  2  0  1  ×  7

 

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 八回裏、濱口陽平選手が野選を誘いダメ押しのホームイン


 先制したのは嘉義大。二回表に8番黄飛鴻選手の本塁打などで3点を奪った。中京大はその裏すぐに3安打を集めて1点差とした。三回表に2四球と適時打で2点差に広げられたが、四回裏に池田鏡介選手(スポーツ科2、愛知啓成)の2ラン本塁打で同点にすると、その後も加点し、初戦をものにした。 

 半田卓也監督は「野球が縁でこういった国際親善試合ができたことが素晴らしい。いろんなことを感じながら取り組んでほしい」と話し、桜井伸二部長は「国際試合をできる幸せを感じてほしい。この機会に友人になれば長く付き合っていくことできる」と交流の大切さを説いた。また、菊地啓太コーチは「相手の投手はどんな場面でも表情を変えずにプレーに打ち込んでいた。バッターはボールに手を出さない。相手の振る舞いにも目をやり、感じてほしい」と述べた。
 川上将平主将は「まず試合に勝てて良かった。相手に学ぶこともたくさんあった。あと2試合、せっかくの国際試合なので一つひとつのプレー大事にして頑張りたい」と力を込めた。


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  中央が加藤さん

 日台若手交流会のメンバーが嘉義大の三塁側スタンドから熱い声援を送っていた。この交流会は、加藤秀彦さんが代表を務めている。6年前に台湾を旅行したことがきっかけで「台湾が大好きになり、日本と台湾との交流をもっと深めたい」と設立したといい、日本人5人、台湾人3人のメンバー8人がうだるような暑さをものともせず、熱戦に目を凝らした。

  加藤さんによると、「KANO」の映画の公開される前から、両大学の試合を提案していたという。3年前に、台湾は震災被害に遭った。その際に「スポーツを通せば、国も文化も違っても交流ができる」と感じたからだ。それがきょう実現した。加藤さんは「本当に嬉しい。両大学ともに85年間、野球部を存続してくれたからこそできたもの。日々の練習の成果を見せてほしい」と話していた。



 「仕事のお休みをもらって観戦に来ました」という台湾の女性が熱心に選手たちの動きに目をやっていた。一緒の日本女性は「野球にはあまり興味がないが、台湾が好きだから」球場に足を運んだという。台湾女性によると、台湾では、映画「KANO」がきっかけで、「中京」という名が知れ渡ったといい、「こういう交流が続けば、日本人に台湾のことをもっと知ってもらえるかも」と期待を寄せる「国際親善試合を多くやれば、国際感覚が養われ、視野がさらに広がるでしょう」と、二人は両チームにエールを送っていた。

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  試合後に健闘を称えあう両チームの選手たち



 (中京大学スポーツの学生スタッフ 法学部3年海江田剣太、文学部2年足立佳南子、現代社会学部2年小林茉圭子、法学部1年川越慈音が取材しました)


                    ◇


▽3日・国際親善試合最終戦(豊田市運動公園野球場) 

   1  2  3  4  5  6  7  8  9  計
中京大  1  0  0  0  3  1  0  2  2  9
嘉義大  0  0  0  0  0  0  0  0  2  2


 前日の雨天中止を受けて、中京大と嘉義大の第2戦が8月3日、愛知県豊田市の市運動公園野球場で、国際親善試合の最終戦として行われた。天候の急変に備え、予定を30分早めて午後4時半にプレーボール。試合は序盤から中京大が優位に進め、9-2の大差で勝利を収めたが、両チーム最後まで真剣プレーで見ごたえのあるゲーム内容だった。今回の「85年ぶりの再現」は中京大の2勝で終わった。最後に両チームがホームプレート前で記念撮影して、再会を誓い合った。
 試合は中京大が初回、連打でつかんだ一死一、三塁の好機に北村渉選手(スポーツ科3、久居)が初球を右翼に運び、犠飛で先制すると、五回にも右前に落とす適時打で二者を迎え入れるなど、四番の重責を果たした。先発の真田直輝投手(スポーツ科2、中京大中京)は、切れの良いストレートとスライダーで相手打者を追い込む投球で中京大勝利の形をつくった。5イニングを投げ、被安打2の完璧の内容だった。
 半田卓也監督は「序盤からこちらのペースで試合ができました。嘉義大にはしっかりバットを振ることの大切さを改めて示してもらいました」と振り返った。北村選手は「今春からしっかり振って、悔いを残さない打撃を心掛けてきましたが、この試合ではそれが結果に出て良かった。秋のリーグ戦もしっかり頑張ります」と早くも秋を見据え、真田投手は「調子が良かった。自信になりました」と話し、秋に向けての新戦力として期待できそうだ。

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 最終戦の後、一緒に写真に納まる両チームの選手たち









 







 




 

2016/08/04

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