知能ロボットの国際大会「アマゾンピッキングチャレンジ」で6位
本学、中部大学、三菱電機の合同チームが新技術を披露

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棚の商品を取る本学など合同チームのロボット

 知能ロボットの国際大会「アマゾンピッキングチャレンジ」が5月26-28日に米・シアトルで初めて開催され、本学、中部大学、三菱電機先端技術総合研究所の合同チームが、日本勢最高の6位と健闘した。

 大会は物流の自動化技術を競うため、アマゾン・ドット・コムとICRA(米国電気電子学会主催の国際会議)が開催した。マサチューセッツ工科大学やベルリン工科大学など、ロボット分野において世界をリードする大学を中心に30カ国32チームがエントリー。日本からは東京大学チームと本学などの2チームが出場し、ロボットアームで棚から本や菓子などの商品を取り出す精度や速さを競った。

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ベクトルペアマッチング(VPM)による物体認識結果

 本学からは工学部の橋本学教授と、橋本研究室の秋月秀一さん(情報科学研究科 博士後期課程2年)が出場。商品の認識するロボット視覚として、研究室で開発した独自の3次元物体認識技術(ベクトルペアマッチング)を投入した。本技術は、これまでに関連学会で表彰を受けるなど高評価を得ている。

 現場での調整が不十分となり、想定した性能を発揮できなかったが、中京大学が得意とする3次元ロボット視覚や画像認識技術、中部大学が得意とする識別技術、三菱電機が得意とするロボット制御技術などを効果的に組み合わせ、他チームにない新技術を披露した。

 このプロジェクトは、本学の人工知能高等研究所(輿水大和所長)から、2015年度の研究支援・助成を受けている。産学連携を活発化しうる点でも、さらなる研究成果が期待されている。

【参加した秋月さんのコメント】
 私がこれまでに開発してきた技術を使って、世界的に著名な大学と肩を並べて競うことができました。加えて、中部大学、三菱電機と三者一丸となって競技に取り組めたことは、たいへんエキサイティングでした。結果的には入賞を逃す結果となってしまいましたが、この経験を生かし、博士論文のための研究をさらに進めていきたいと思います。

(情報科学研究科情報認知科学専攻2年 秋月 秀一)

【指導教員の橋本学教授のコメント】
 このコンペティションには,ロボット技術に関連する世界中の強豪大学が集う国際大会であること、商品ピッキングという現実の問題を対象としたきわめて高レベルの挑戦であるという、2つの大きな特色があります。
今回、物体の認識や識別を中心とする人工知能の部分を、本学と中部大学の2大学で担当し、精密で正確なロボット機構と制御を三菱電機が担当し、3者の強い技術を統合することによって、高度な知能ロボットを完成させました。
成績は6位でしたが、競技では、多くの聴衆が見守る中で、複数物体が置かれている棚から小さな書籍を正確に取り出す最高配点の演技を成功させて大きな拍手を受けるなど、研究開発成果の一端を披露することができ、意義深いコンテストになりました。

 技術開発に際しては、橋本研究室所属のD2学生である秋月秀一さんが、学生5人からなる研究室内の開発チームをリードしてくれました。現地会場では、MITなど世界トップレベルの学生たちの取り組みを目の当たりにして、よい刺激を受けたことと思います。今後はこの経験を生かして、博士研究をさらに高度化してくれることと期待しています。

 最近、新聞等では「ロボットの知能化、人工知能技術の重要性」が大きな話題になっていますが、このような実世界で役に立つロボットの開発競争が、今後ますます激化すると予想されています。この分野の研究者として、大学・大学院に対する社会的要請を受け止め、我が国の産業競争力強化に寄与すべく、ひきつづき高度技術の研究を続けていきたいと思っています。

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工学部 橋本研究室
動画でみる研究成果

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チームメンバー

2015/05/30

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