髙橋祥平さん(情報理工学部機械情報工学科4年・橋本研究室)
吉村裕一郎さん(情報科学研究科情報科学専攻2年・青木研究室)
動的画像処理実用化ワークショップ(DIA2015)で研究奨励賞

 3月5、6日に広島市で開催された「動的画像処理実用化ワークショップ(DIA2015)」において、情報理工学部機械情報工学科4年の髙橋祥平さん(橋本研究室/指導教員:橋本学教授)、情報科学研究科情報科学専攻2年の吉村裕一郎さん(CVSLab./指導教員:青木公也教授)の研究が、研究奨励賞を受賞しました。

 同賞は、画像処理技術の分野に関して、特に優れた研究に対して贈られるものです。本年度は日本全国から応募された76件の論文のなかから、 専門家による厳正な審査を経て3件が選ばれました。

 

■「点群の粗さに依存しない物体認識のためのRPD(Relative Point Density)特徴量の提案」

受賞者:髙橋祥平、武井翔一、永瀬誠信、秋月秀一、橋本学

【受賞論文】 

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 髙橋 祥平さん

 本研究は、いま産業界でたいへん注目されている、3次元物体認識に関する研究です。私が開発した新手法は、点群の粗さに依存せずに物体を認識することができます。この技術により、自動走行車や移動ロボットに不可欠な障害物発見などの高度なセンシングが可能になりました。

 橋本研究室に配属され、学生生活4年間の間に研究成果を学会発表するという以前からの夢を叶えることができました。橋本先生ならびに研究室の諸先輩方の熱心なご指導あっての受賞ですので、嬉しい気持ちとともに関係者への感謝の気持ちでいっぱいです。

(情報理工学部機械情報工学科4年 髙橋 祥平)

 【指導教授から一言】
 
今回の受賞は、近年注目度が高まっている3次元のデータ処理を取り扱うロボット視覚に関するものです。これまでほとんど見過ごされていた点群密度の違いを乗り越えるという難しい課題に挑戦してくれたこともすばらしいですが、学部生ならではの斬新なアイデアに加え、海外の最新研究と比較しても十分に優位であることを実証できたことが評価されたと思います。

 学会発表には、研究のレベルを高める技術力だけでなく、物事の本質を多の人にわかりやすく伝えるためのプレゼン力など、社会で活躍するために必要なスキルが凝縮されています。今春には就職して社会人になりますが、この経験を生かして、大いに活躍してくれることを期待しています。

 

「遺伝的ネットワークプログラミング(GNP)に基づく検査画像処理プログラム自動生成手法の検討」

受賞者:吉村裕一郎,古家裕大,根来秀多,青木公也,山磨誠治,藤井康司

【受賞論文】 

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吉村裕一郎さん

 製造ラインにおいて製品のキズや欠陥をチェックする検査工程は欠かせません。製造ラインの多くの工程は産業用ロボットをはじめ、各種機械によって自動化されていますが、検査工程は人による目視検査に依存している場合が少なくありません。これに対して外観検査の自動化は画像処理技術によって達成されますが、検査対象は多岐に渡るため、画像処理ソフトウェアの開発は簡単ではありません。本研究は、このソフトウェア開発を自動化する研究です。これが達成できれば、あらゆる製品の検査ソフトが簡単に開発され、ものづくりの品質保証につながります。

 本研究は、三菱自動車工業様との共同研究の成果の一部です。私もそこに参加し、企業のエンジニアの方々と議論しながら進めた研究が,「実利用化」を冠する学会での受賞となり、大変嬉しく思います。これに満足せず、さらに博士課程に進学し、実際の製造ラインで私の研究が実用化されるよう、研究に精進します。

 (情報科学研究科修士課程情報科学専攻2年 吉村裕一郎)

 【指導教授から一言】

 当研究室が掲げる目標の一つは「画像処理技術を通して社会に貢献する」です。今回の受賞論文は、三菱自動車工業様との共同研究の成果の一部であり、産学連携の成果が認められたこと、研究室一同大変嬉しく思っています。吉村君はこの共同プロジェクトの大学側学生リーダとしてチームをまとめ、その上で厳しい締め切りにもめげず、学会ギリギリまで研究に取り組んでくれました。彼は今春から博士課程に進学し,当研究室において研究開発を継続します.博士学位の取得は並大抵ではありませんが,その船出での受賞は、彼の今後の活躍を予感させます。吉村君、おめでとう!!

 

 


2015/03/26

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