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保見・農園
プロジェクト

大学近くにあるコミュニティ農園での作業を通じて異文化・異世代との交流を図り、
行動力や柔軟な考え方を身につけていきます。

大学近くにある農園が学びの場となる

2022年に中京大学に着任した中野先生の専門は文化人類学です。北西インドにあるタール砂漠地帯で伝統的に移動生活を営んできた人びとの生活について、現地でのフィールドワークを重ねて研究を続けています。中野ゼミでは、文化人類学の視点から、多様な文化的背景を持つ人たちがどのように交流し、共生していけるかというテーマについて、実践を通して考えていきます。

2年次春学期に準備ゼミがスタートし、秋学期から活動が本格化していく中野ゼミ。主な活動フィールドとなっているのは、大学近くにある「HOMIわいわい農園」です。2022年のゼミ開始当初は、南米出身の外国人の居住率が高いことで知られる豊田市の保見団地を訪れていました。それを通じて農園の会とつながったことから、このスタイルとなりました。会の代表である森賢一さんによると、農園のオープンは2023年1月で、本格的に農作業を始めたのはその年の4月から。農園の会員は現在30名ほどで、多くは第2・日曜日に集まって作業をしています。そして木曜日の午後、ゼミ生たちが農園にやって来ます。

農作業をベースに、異世代・異文化交流

中野先生は、「学生たちが自発的に考えて行動し、自分の特性をどう活かしたら人の役に立てるか…という視点に立ってほしい」と考えています。そのため、農園というフィールドで誰が何をするのかは、学生自身が主体となって決めました。

学生たちの話し合いの結果、3つの班に分かれて活動することになりました。第1班は農作業を中心に行います。第2班は農園に隣接する竹藪に入り、農作業に必要な竹の切り出しや藪の整備を行います。第3班は木工班。木材を利用し、農機具小屋の棚や皆が集まれる休憩スペースなどを製作します。当初は何をしてよいかわからず指示を待つことが多かった学生たちですが、徐々に自分で仕事を見つけ、積極的に発言したり取り組んだりできるようになりました。活力にあふれた学生たちの姿は、森さんの目にも頼もしく映っており、農園の活動だけでなく社会の未来への希望でもあるといいます。

農園の隣はブラジル人グループの畑になっており、作業の合間に声をかけ合って異文化交流を重ねています。

積極的に人と交わり、他者・自己理解につなげる

11月初旬、HOMIわいわい農園ではバーベキュー大会を実施。事前の会場設営や必要な道具、食材の買い出しは、森さんをリーダーに学生たちが手分けをして行いました。会員のほか隣の畑のグループの人たちも招待し、大人も子どもも、日本人もブラジル人も一緒に楽しむひととき。「日本とブラジル、どちらで生まれ育ったのか?」「日本に来てから文化の違いを感じたことは?」といった、改まって聞きづらいことも、こうした場ではお互い楽しみながら話し合えます。中野先生がゼミ生たちに願う「いろいろな人と関わって、柔軟な考えを持てる人になってもらいたい」という思いが実現する場ともなりました。

中野先生は「自分たちでアイデアを出し、自分から面白がって動いてみること。自分を開き、地域社会の大人たちと話してみること。そこから、自分がどう人の役に立てるかが見えてくるはずです」と語ります。この先、どのような相互理解が生まれ、そこから学生がどう変化し成長していくのかが楽しみなプロジェクトです。


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