国際教養学部の2年生12人がドイツで「海外課題研究」
IIK,デュッセルドルフ大学で語学研修を受けながら研究行う

ドイツ演劇事情 ドイツ演劇事情

 

 国際教養学部の2年生 76人が2013年8月―2014年1月に、それぞれが専攻する第二外国語に基づいてドイツ(IIK,デュッセルドルフ大)、フランス(レンヌ第二大)、スペイン(パブロ・デ・オラビデ大)、ロシア(サンクト・ペテルブルグ大)、中国(上海大、蘇州大)の5カ国に留学した。演習科目「海外課題研究」による留学で、1セメスター(1学期間)、提携先大学で語学研修プログラムを受けながら、それぞれ課題に挙げたテーマの研究を行った。

 ドイツに留学したのは12人。語学力の向上とともに、研究成果を持ち帰った。

 

■「ドイツ演劇事情」

ドイツ演劇事情

 私はまず、留学先のデュッセルドルフにあるSchauspiel Museumという演劇博物館に訪れました。演劇博物館にはドイツ演劇の写真や衣装、歴史と現状のパネルが展示されており、基本的な情報を収集することができました。また、ドイツ国内には歌劇場が多く存在するので、各都市の劇場を訪れ、実際にオペラ鑑賞をしてきました。そして、身近な人(ホストマザー、学校の先生など)にインタビュー調査を行いました。その他、演劇のパンフレットを収集したり、知り合った人に演劇やオペラについての意見を聞いたりしました。

 演劇が好きなため、私はドイツ演劇事情について研究を行いました。ドイツは、日本と比べると演劇文化がとても栄えています。ドイツの年間劇場動員数の割合は国民の約43%もあり、日本の約4倍にも上ります。なぜ、これほどまで演劇という文化がドイツ国民に浸透しているのか疑問に思い、調査をしてみようと思いました。また、私が留学したデュッセルドルフのあるNRW州(ノルトライン=ヴェストファーレン州)は演劇文化が盛んなことで有名であることも、研究テーマの決定を後押ししてくれました。

境谷 優花さん

 質問に対して予想していたよりも多くの回答が寄せられて、ドイツ人がこの話題に強い関心を示していることがわかりました。その反面、調査結果としてまとめることが難しく、悩みました。しかし、ホストマザーの協力もあり、あらためてひとつひとつの調査結果について話し合うことで、結論を出すことができました。

 調査を進める中で、ドイツの演劇は、少しずつですが近代化に向かっていることに気が付きました。モーツァルトの『魔笛』というオペラを鑑賞した際、舞台が大きなスクリーンになっており、プロジェクターで映像を映しながら演技をするという演出をしていました。この演出について周囲の人に意見を聞いてみると賛否両論があり、「オペラとしてどうなのか」「新しくて面白い」などとドイツ人同士での熱い議論が交わされました。地元の新聞にも取り上げられており、ドイツ人の関心の高さが裏付けられました。また、時の流れに合わせて変化をしていくことは必要ですが、新しい演出が浸透するにはまだまだ時間がかかるように思いました。

ドイツ演劇事情

 調査の結果、ドイツでは観劇という文化を気軽に楽しむための環境が十分に整えられていることがわかりました。観劇のためのチケット価格はとても安価で、大小問わず各都市にひとつは必ず劇場があるので、いつでも気軽に劇場に足を運ぶことができます。また、現地の方にインタビュー調査をしてみると、誰もがこれらを重要な文化の一つとして認識していることがわかりました。多くのドイツ人は演劇文化を後世にも残していきたいと考えているので、小さなこどもも劇場へ連れて行き、文化に触れさせています。ドイツ人一人ひとりが、演劇やオペラをドイツの重要な文化として認識していることが、日本との大きな違いに感じました。

 私は高校生の頃にできたドイツ人の友人にドイツの話を聞き、ドイツという国や文化に興味を持ち、ドイツ語を専攻しました。そして今回の海外課題研究で、事前調査や現地調査を行ったことで、以前よりもドイツの文化に強い関心を持つことができました。今後も、この留学という貴重な経験を生かしながら、演劇という分野だけにとらわれず、広い意味でのドイツ文化について様々な角度から学んでいきたいと思います。

(国際教養学部2年 境谷 優花)

2014/02/21

  • 記事を共有