出身は韓国の大邱市近郊ですが、ソウルで大学院在学中の1992年、文部省の国費留学生として来日し、東京で大学院時代を過ごしました。1999年から本学部で勤務しています。専門は環境社会学、ボランティア論です。これまで最も長く関わったのは熊本、鹿児島の両県を舞台にした水俣病研究ですが、3・11以降は、福島県中通りの親子の生活・健康に関する調査研究、愛知県の子ども食堂研究をしています。
趣味は子ども食堂めぐり、クラシック音楽鑑賞、旅行です。
●環境社会学
●ボランティア論
●ウェルビーイングの社会学
環境社会学は、水問題、エネルギー問題、水俣病、原発事故など様々な環境問題を社会学の考え方を用いて紹介しています。ボランティア論は、教室での座学に加えて、愛知県内の子ども食堂にボランティア体験を通じて、現代社会を体験的に理解するよう授業しています。ウェルビーイングの社会学では、社会のあり方と健康との関係を経済格差、教育、仕事、人間関係などをテーマに講義しています。
20世紀の科学技術の粋を集めた原子力発電所で起きた未曾有の出来事は人間の「からだ」「こころ」「きずな」に長期的にどのような帰結をもたらすのか。また、なぜ人為災害なのに被害者同士で分断が生じるのか。さらに、どうすれば家族、地域、社会における分断を乗り越え、傷を癒していけるか。水俣病の歴史と福島の現状に対する実態把握に基づき、多様な関係者が宥和せずとも、共存できる相互了解を可能にする知的枠組みと関係者間の取り組みを分断修復学として創成しようとしています。
市民活動が低調といわれる日本社会において、2010年代に空前の盛り上がりを見せている「子ども食堂」を手がかりに、愛知県・名古屋都市圏における人と人との結びあう形(社会的結合)の現状・特徴を明らかにし、今後の可能性を引き出す研究に取り組んでいます。要するに、子どもの孤立を防ぐ手立ては家族や学校だけが担うものではないということを示唆しています。子どもを受け入れてくれる地域の人がいる、先生がいる、お兄ちゃんお姉ちゃんがいる、そういった信頼できる大人や若者につながったとき、一人の子どもの人生が大きく変わる可能性があります。行政、企業、社会福祉協議会、NPO、ボランティアなどと連携しながら、地域におけるみんなの居場所をつくる活動に取り組んでいます。
なんでも研究対象にできること、また、たくさんの研究分野と協働・連携できることにあると思います。これまで水俣病研究では、医学部の公衆衛生学、社会福祉学、環境学の研究者・学生と様々な角度から学際的な研究に取り組んできました。また、今、取り組んでいる福島親子の生活と健康に関する調査研究でも愛知県内の子ども食堂研究でも多様な分野の研究者・学生と協働で研究をすすめています。
一言で言って、自分を発見する場です。ただ、自分一人で考え込むのではなく、同世代の学生や教員と一緒になって、社会の具体的な「現場」を体験し、自分と周りとの関係を見つめ直し、そして自分が望む未来を創っていく、そういった機会を得ることができる最適の場だと思います。
中学、高校生の頃から社会科の科目に興味を持っていましたが、大学に進学する時、社会の具体的な現場に関わりながら学ぶのが自分に向いていると思ったので、社会学を選びました。それ以来、社会学との出会いは「運命」だと考えています。
「自分は将来、何をやりたいのかわからない」と悩んでいる人が多いと思います。しかし、悩んでも答えは出ません。自ら進んで取り組みながら、自分が本当にやりたいことを見つけていくのが人生だと思います。まずは、出会うことからはじめることです。ただ、その出会いの機会をどう作るかが大事です。その出会いの機会と体験を大学生活のなかで大切にしていきましょう。
ここ数年、私の授業やゼミの学生と、愛知県内の子ども食堂にボランティアとして関わって、学生が実際、変わっていく姿を目撃しています。これまで子どもに関わったこともなかった学生が子どもや大人と接し、自分や社会を再発見する。大学生活で出会う「人」や「体験」を大事にしましょう。