1994年以来、南アフリカ共和国のンデベレ社会にてフィールドワークを継続し、カラフルな壁絵を描いた住まいを「伝統」と語るンデベレの人びとについて、物質文化や民族帰属意識から研究しています。愛知県犬山市にある野外民族博物館リトルワールドには、学芸員として復元にたずさわった野外展示家屋「南アフリカ ンデベレの家」があります。近年は中京大学スポーツミュージアムの設立に関わって、スポーツやオリンピックにも研究領域を拡大しています。
仕事がらみになってしまいますが、博物館や美術館へ行くこと。とくに、わけのわからない現代アートには魅力を感じます。
●エスノグラフィー各論A ●博物館概論 ●博物館経営論
●文化人類学実習 ●演習
エスノグラフィー各論Aは、私が研究しているンデベレという民族を紹介します。アパルトヘイトに関わる歴史、末子相続制父系社会という親族組織、王を頂点とした社会組織、成人式などの人生儀礼、壁絵や装身具といった物質文化などを取り上げながら、文化人類学の理論や学説について学びます。博物館概論では、文化人類学と博物館との関わりを軸に講義を展開しています。
「モノ」から人、民族を見つめる研究をしています。小さなビーズの粒から住まいまで、人間の暮らしに関わる「モノ」であれば、すべて研究対象になりえます。主な調査地である南アフリカ共和国のンデベレ社会では、ンデベレの人びとが「伝統」と語る物質文化を中心に、彼我の「伝統」概念の違い、ンデベレ社会を取り巻く歴史や政治状況のとのかかわりについて研究しています。
他のゼミとの大きな違いは、「モノ」から考える、考えたことを文章だけでなく展示で表現する点です。ゼミ生には、大学が収蔵する資料を実際に見て、触って、感じたこと、疑問に思ったことを、文献やネットから情報収集するとともに、フィールドワークで実地に調べてもらいます。その成果を中京大学スポーツミュージアムで展示することが目標のひとつです。こうした過程でスキルを高め、ゼミ生自身が関心を持つテーマについて卒業論文としてまとめることを最終目的として、ゼミを進めています。
当たり前のことが当たり前でなく、変に見えることが変ではない。文化人類学で自分の価値観を揺さぶり、体にまとわりついた偏見と先入観を振るい落とし、もう一度見てみましょう。きっと新たに見えてくるものがあるはずです。
世界にはさまざまな文化をもつ人間が、民族や国家などといったさまざまな社会を形づくって暮らしています。そんな多種多様な社会を学ぶに適した、多種多様なスタッフが揃っています。
高校時代に、世界中のありとあらゆる人間の営みが研究対象となる、文化人類学なる学問があると知り、学べる大学に進学しました。出会って良かったと思っていますし、楽しんでいますし、これからも楽しみたいと思っています。
高校生のみなさんへ 自分が「おもしろい」と思うことを早く見つけてください。そのために心掛けてほしいことは、ひとつ。できるだけ物事を観察すること。何となくではなく、しっかり物事を見ること。面倒くさい、関係ないと思うこともたくさんあるでしょうが、ちょっとだけでも何だろう、なぜだろうと考える癖をつけてください。そのうち、きっと「おもしろい」と思うことを見つけられます。
国際文化専攻では、いろいろな学びの機会を提供しています。積極的に機会をとらえ、「おもしろい」と思うことを、とことんつきつめてください。