公文書管理制度の国際比較

公文書管理制度の国際比較
―情報自己決定権の具体化としての公文書管理制度の形成

研究組織

氏  名 個別参加テーマ
桑原 英明(研究代表者) 地方自治体における公文書管理制度・日本担当
檜山 幸夫 保存歴史資料論・台湾担当
酒井 恵美子 近代史料の保存管理・台湾担当
手塚 崇聡 公文書管理制度の比較研究・カナダ担当
東山 京子 公文書管理の技術論・台湾・イタリア担当
上代 庸平 公文書管理の法制度・ドイツ担当
鈴木 勝也 技術の記憶と産業アーカイブ・アメリカ担当
野口 健格 憲法の動態と記録の保存・スペイン担当
湯上 良 イタリア共和国およびバチカン市国文書管理行政
水谷 瑛嗣郎 メディアにおける情報資源の保存管理

研究調査期間・場所

調査期間 : 2013年度から3年間
調査場所 :
 ① 国内行政機関:地方公共団体における公文書管理条例の整備状況と制度運用の現状
   Ex. 熊本県、島根県、鳥取県、大阪府
 ② 外国機関:公文書管理制度の形成を通じた情報自己決定権の具体化  
   Ex. アメリカ合衆国(情報安全保障監督局など)
      ドイツ連邦共和国(旧国家保安省文書管理全権受任庁など
      スペイン王国(歴史記憶センター内戦資料館など)
      中華民国台湾(国史館台湾文献館など)
 ③ 周縁アーカイブの制度設計
   Ex. 産業アーカイブ(ドイツDBM鉱山資料館)・非国家公的団体の文書館(教会アーカイブ)
      私家文書館(プロイセン文化財団、スペイン王立文書館)など

研究目的

 本研究は、個人のデータの取得・保存管理・利用の全段階において個人の自己決定が及ぶことを保障する基本的人権としての情報自己決定権の観念を前提として、大規模集積・自動処理化時代における公文書管理制度形成のあり方に関する検討を行う。 公文書管理が国民の利益の実現のために憲法・法律による形成を通じて実現される制度であることに着目して、特に国民の「情報自己決定権」の視座をその制度の基礎に据えた場合の、制度整備のあり方、国民の利益の具体的実現の方法及び必要となる技術論を提示することを目指す。
 具体的な視点は下記の通りである。
①大量データ処理時代における情報自己決定権観念の再検討と、
 大規模集積・自動処理化が進む公文書管理制度へのその具体的な反映のあり方
②情報自己決定権の具体化としての公文書管理制度の形成のための政策法務上の立法技術
③情報報自己決定権を具体化した公文書管理制度が果たす社会的効用に関する
 基礎法学的視座
④報自己決定権の制度的実現に仕えるための公文書・歴史文書の保存技術における
 専門性確保

研究計画

① 情報自己決定権の観念の再定位と
 その公文書管理制度への応用に関する検討(比較法研究)
 情報自己決定権の理論的到達点共有のための共同研究会。
 国際比較研究の対象はドイツのシュタージ文書法、スペインの公文書制度勅令などを想定。

② 政策法務上の公文書管理制度に関する立法例の分析及び立法技術の検討(政策研究)
  国内地方公共団体における公文書管理制度の条例の整備に関する訪問調査。
  比較対象としてアメリカの機密文書管理制度、ドイツ自治体公文書館を想定。

③ 公文書管理を基礎付ける理論背景の国際比較及び
  制度形成への反映可能性の検討(国際制度比較)  
  公文書が歴史資産であるという前提と、公文書保存の実体上の法制度との乖離状況を
  把握するための訪問調査及び学外研究者・実務家を招いての研究会。
  中国・台湾における歴史文書の保存制度、アメリカ・イタリアにおける文書の災害対策制度との
  比較を想定。