学術講演会・学術交流・法談会

日付 2016年3月1日(火)
講演者 中京大学大学院法学研究科
古川 浩司教授
中京大学大学院法学研究科
京 俊介准教授
政治大学大学院台湾史研究科/人権史研究センター所長
薛 化元教授
タイトル 「2016年法律と政治史研究交流会」
場所 政治大学社会科学資料センター1階会議室

2016年3月1日(火)14時より、台湾・政治大学文学院人権史研究センターと本学大学院法学研究科の共催にかかる「2016年法律と政治史研究交流会」が政治大学社会科学資料センター1階会議室にて開催されました。本研究交流会には、本学大学院法学研究科より古川浩司教授と京俊介准教授が参加し研究報告を行い、また本学非常勤講師の鈴木哲造氏が通訳として参加しました。政治大学からは薛化元教授(大学院台湾史研究科/人権史研究センター所長)・李福鐘准教授(大学院台湾史研究科/研究科長)・李為楨准教授(大学院台湾史研究科)が参加し、薛教授が研究報告を行いました。

「2016年法律と政治史研究交流会」案内板の前にて
左から李福鐘准教授・古川浩司教授・京俊介准教授・鈴木哲造講師

古川報告「境界研究(Border Studies)への誘い」と京報告「イシュー・セイリアンスと政策形成過程―国際比較分析に向けて―」は、それぞれ「境界研究」と「イシュー・セイリアンス」(Issue Salience)という視角から、台湾の研究者に対して有意義な国際共同研究の可能性を問いかけたものでした。

境界研究とは、境界地域から国家や社会の複雑な現象を読み解いていこうとするもので、社会学・人類学・経済学・政治学・国際関係学・言語学など様々な学問領域を巻き込みながら学際的に発展を続ける野心的な学問領域です。古川報告では、この境界研究をめぐる欧州・北米・日本の動向が論じられ、とりわけ日本と台湾との関係については、八重山地域と台湾東部地域との交流人口拡大の模索が続けられている現状が述べられました。

一方、イシュー・セイリアンスとは、「平均的な有権者にとっての、他のイシューと比較しての重要性」と定義される政治学の概念です。京報告では、イシュー・セイリアンスを用いて、日本の著作権法政策形成過程の政治的メカニズムを解明した自身の研究成果が紹介されるとともに、イシュー・セイリアンスをキーワードとして日本・米国・EUの著作権法政策の比較検討が試みられ、イシュー・セイリアンスを通じた政策形成過程の国際比較分析の有効性が論じられました。

古川浩司教授の研究報告の様子
京俊介准教授の研究報告の様子

薛報告「第二次世界大戦の国際法上の終結と台湾」は、第二次世界大戦期から1950年代における台湾の法的地位に関する文献を整理し、そこで展開される主張、とりわけ国際法に関連する論述の意義を検証することを目的としたものであり、台湾の法的地位についての国際政治と国際法に関わる主張がしばしば混同されて用いられている現実への問題意識に端を発したものです。ここでは、カイロ宣言・ポツダム宣言・サンフランシスコ講和条約・日華平和条約・米華相互防衛条約が俎上に載せられ、台湾の法的地位の問題が国際法上の最終的な決着を迎えていないことが論じられました。

薛化元教授の研究報告の様子

三報告が終了したのち、総合討論となり、①境界地域に焦点をあわせた新視角からの研究が「境界」を持つ日本と台湾とのあいだの経済・文化交流の促進に寄与すること、②古川報告と薛報告は大きく捉えれば関連性を有しており、両者が共同で研究を進めていく余地があること、③日本と台湾の著作権法そのものの内容と、利益集団としての出版業界の動態は類似性があることから、著作権法をめぐる政策形成過程につき日台共同研究が可能であることなどが議論されました。

これに引き続いて、本学大学院法学研究科と政治大学大学院台湾史研究科のあいだでの共同研究の可能性並びに学術交流の方向性についての話し合いがもたれ、今後も両研究科間の学術交流を深めていく活動を継続して行っていくことで合意しました。