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コーヒーの背景を知る
みなさんは「フェアトレードコーヒー」や「ダイレクトトレードコーヒー」という言葉を聞いたことがありますか。どちらも生産者の生活や環境に配慮した取り組みとして注目されていますが、実はその仕組みや考え方には違いがあります。
フェアトレードは、生産者に適正な価格を保証し、貿易の公正さを保つことを目的とした国際的な認証制度です。一方でダイレクトトレードは、仲介業者を通さずに生産者と焙煎者・販売者が直接取引を行うことで、より透明で持続可能な関係を築くことを目指しています。
今回はその中でも「ダイレクトトレードコーヒー」に焦点を当て、水野椋太さん(現代社会学部4年真鍋公希ゼミ所属)にお話を伺いました。水野さん自身の学びを共有しながら、生産者の方々にも観点を置き、ダイレクトトレードの魅力をお伝えします。
水野さんは高校生の頃からコーヒーが好きで、よく飲んでいたそうです。コーヒー好きな水野さんに転機が訪れます。「SDGsAichi Expoで生産者と直接繋がりながら支援を行うNPO法人『地球市民の会』の活動を知りました」同団体は、主にタイやスリランカ、ミャンマーでの国際協力活動や、国際交流事業、地球教官教育事業など、国内外問わず様々な形での地球市民運動を通じて、地域社会の向上発展に寄与することを目的としています。今回水野さんが目を向けたのは、その活動のうちの一つ、ミャンマーのコーヒー事業でした。

「経済的支援をするのではなく、ミャンマーの人々に、コーヒー豆の作り方や売り方などの技術を教えているということを知りました。自給自足だけでなく、自ら生産者となり、お金を得ることのできる仕組みづくりを支援する活動です。ミャンマーの貧困地域では、従来焼畑農業を取り入れた自給自足の生活を送っていました。焼畑農業自体は持続可能な農法ですが、人口増加の影響による『過度な』焼き畑により、地力や生産力が落ちてしまうという悪循環を引き起こしていました。そこで、コーヒーの木を植えて栽培するという支援を行いました。それに加え、生産されたコーヒー豆や製品が、生産者と対等に交渉しながら、納得のいく価格で売買され、生活改善と自立を目指す仕組みづくりにも尽力しています。この支援を行ったことで環境のみならず、今まで改善することができなかった教育や医療、インフラまでにもお金をかけることができるようになり生活が豊かになるのです。このことを『森を焼くから森を育てる』と表現されている地球市民の会の皆さんとの出会いが、ミャンマーのコーヒー事業に携わるきっかけとなりました。この活動をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、今回の大学祭出店を決めました。
水野さんは今年度の大学祭で、団体の活動やダイレクトトレードについての理解を深めてもらうため、様々な企画を用意しているとのことです。「大学祭では、実際にお客様の前でミルを使用したドリップコーヒーを販売したり、スタディーパークというパネルの展示やワークショップを通した、年代限らず楽しく学べるスペースの作成を計画したりしています。学祭に来てくれたお客さんの中には、生産者の生活やダイレクトトレードコーヒーを知らない、いわゆる『ゼロ』の人が多いと思うので、より多くの人に情報を届け、知ってもらうことで『イチ』にできるような企画を届けたいです。」
最後に、水野さんは大学祭に向けての意気込みを次のように語ります。「普段私たちが手にしているすべての原材料・製品には、生産者の努力があります。コーヒー一杯で豊かになる人がいる、ということを伝えるなかで、お客さんと生産者を「つなげる」ことのできる企画を目指しています。みなさんにもっと、コーヒーだけでなく、普段私たちが手にするもの、使うものの背景を考えるきっかけを与えられればいいなと思います」

水野さんの所属する真鍋ゼミは、第32回中京大学とよた祭11月2日・3日に、豊田キャンパスで出店予定です。皆さん是非お立ち寄りください!
企画・制作 学生広報スタッフ「ライト」
- 文:吉原采紀(心理学部2年) 青木琴音(心理学部2年)
- 写真:髙橋陽色(文学部3年)