学食の食ロス堆肥化プロジェクト

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社会貢献
2023/07/13

工学部
宮田 義郎 教授

地域の資源を循環する

 大量生産・消費に依存する現代社会は、生産と消費の間に加工や流通など複雑な社会システムが介在し、大量廃棄や海外資源への依存など多くの問題を抱えています。しかし、それらの問題は日常生活では見えず、解決を難しくしています。工学部宮田研究室では、資源を地域で活用し循環する試みとして、廃棄食材堆肥化システムに取り組んでいます。

 始まりは、研究室の廃棄食材を大学の裏山で採取した土壌微生物によって堆肥化する小さな木箱でした。2021、22年に国際イベントWorld Youth Meetingでコラボしたバンコクの学校DSILでの、学校食堂の廃棄食材の堆肥化と学校農園に触発され、中京大学生協豊田店の廃棄食材の堆肥化を開始しました。DSILとオンラインで情報交換しながら、従来の箱型容器を、回転して攪拌できる樽型へと改良し、米糠、籾殻など地域の資源も活用し、センサーで温度をモニターしながら効率的に微生物で発酵させるシステムを開発しました。その堆肥を活用する畑も始めました。大学生協の食堂部と購買部が協力して、廃棄食材を食品と非食品に分別する体勢を作って下さいました。今までやむを得ず廃棄していた食材を堆肥化できることで「気持ちが楽になりました」という店員さんの言葉に、学生もやりがいを感じているようです。

 豊田市循環型社会推進課および環境学習施設eco-T、Foods for Children 愛知などもプロジェクトに関心を持っていただき、今後市内の一般家庭、学校、飲食店などに活用の幅を広げるべく連携しています。また、TANQ Arab Academy、おいでんエネルギーとも連携してエジプトの農村支援も計画しています。微生物による有機物の発酵という、生命を支える普遍的な力が、既存の境界を越えて学びの世界を広げてくれています。

 (研究生 Gabriel Rusk)生協食堂やeco-Tとの連携で、自分たちが食ロス削減に貢献している実感が得られ、今後もっと広げていく意欲が湧きました。

 

堆肥化容器は、豊田市産杉材をすべて手作業で加工して制作しています
堆肥化容器は、豊田市産杉材をすべて手作業で加工して制作しています

 

 

16号館東側に設置した1号容器(上)と、回転性能を改良した2号容器(下)
16号館東側に設置した1号容器(上)
回転性能を改良した2号容器(下)

 

 

毎週大学生協から回収した廃棄食材、米糠、籾殻を投入し、毎日容器を回転・攪拌し、微生物に酸素を供給します(左)開始後約2、3日間で温度は50℃を超え、糸状菌が広がり、発酵が進んでいます(右)
毎週大学生協から回収した廃棄食材、米糠、籾殻を投入し、
毎日容器を回転・攪拌し、微生物に酸素を供給します(左)
開始後約2、3日間で温度は50℃を超え、糸状菌が広がり、発酵が進んでいます(右)