ドップラーセンサを用いた呼吸・心拍測定

日本語
研究
2023/07/13

工学部
上林 眞司 教授

 新生児医療では、保育器内の新生児の呼吸・心拍を常時監視する必要があります。現在は、ECG(心電図)の電極を皮膚に貼り付けて測定していますが、早産児は皮膚が弱いので、貼り替えの際、皮膚を傷つけることが多く、また測定コード類による事故の危険もあり、看護師さんは苦労しています。

 睡眠時無呼吸症候群の患者さんをはじめ、老人、入院中の患者さん、健康観察中の人などの、就寝中の呼吸・心拍を家庭で手軽に測定できると大変便利です。また、呼吸器系のお医者さんは、診察の際、患者さんの自然な呼吸を測定したいのですが、患者さんは呼吸を測定されていると気付くと呼吸を意識してしまうため、自然な呼吸を測定できません。そのため、小型のセンサを使って、遠隔で患者さんに気付かれずに呼吸を測定したいという要望もあります。

 私たちは、患者さんに触れることなく、遠隔で呼吸・心拍を測定する方法の研究・開発を行っています。ドップラーセンサという、数センチの大きさのセンサを使って、電波により呼吸・心拍を測定します。電波照射強度は1mW(携帯電話の1/100以下)なので、健康の問題はありません。

 研究は名古屋大学附属病院と連携して行っています。現在までに基本的測定法を確立し、患者さんが静かに寝ているときは精度よく測定できることを確認しています。現在は体動があるときや、周囲でお医者さんなどが作業をしているとき(外乱が存在するとき)も、高精度な測定ができるよう、改良を進めています。

 

名古屋大学附属病院における新生児の呼吸・心拍測定実験の様子名古屋大学附属病院における新生児の呼吸・心拍測定実験の様子

 

中京大学 上林研究室のHP