国際スポーツイベント観戦者・関係者の移動に伴う二酸化炭素排出量

日本語
研究
2023/06/21

スポーツ科学部
伊藤 央二 准教授

持続可能なイベント開催に向けた指標開発

 国際スポーツイベントの開催は、選手、関係者、観戦者などのさまざまな種類のスポーツツーリストの飛行機移動を引き起こし、気候変動の主な原因となる二酸化炭素排出量を大幅に増加させてしまいます。そのため、これらのスポーツツーリストの飛行機移動のニーズマネジメントは、国際スポーツイベント主催者にとって、持続可能な観光を実現するための主要な課題となっています。

 新型コロナウィルスの影響により、東京2020は無観客開催となってしまいましたが、気候変動対策にとってはポジティブな結果をもたらしました。東京2020組織委員会の報告によると、無観客開催によって海外観戦者の移動と宿泊から生じる二酸化炭素排出量が約34万トンも減少しました。加えて、海外の共同研究者と実施した東京2020開催中の出入国管理統計等を用いた2次データ分析から、海外からの大会関係者数(e.g., 五輪関係者、メディア、マーケティングパートナー)の制限に伴い、約13万トンもの二酸化炭素排出量(航空分野)の削減に至ったことが明らかになりました。

 また、国際スポーツイベントには、東京2020のような都市単位のイベントに加えて、ラグビーワールドカップ2019のような国単位のイベントもあります。国単位のイベントでは、国際移動に加えて開催国内での国内移動の必要性も出てくるため、二酸化炭素排出量がさらに増加します。ラグビーワールドカップ2019の経済効果分析レポート等を用いた2次データ分析から、12の開催会場を新幹線で繋がっている3会場(横浜、名古屋・豊田、大阪)に集約させることで、海外からの観戦者の到着空港と会場間の移動で排出される二酸化炭素を62.7%削減できることを海外の共同研究者とともに明らかにしました。

 こうした科学的エビデンスをもとに、国際スポーツイベントにおける気候変動対策をモニタリングする指標開発(e.g., 海外と国内大会関係者の割合)を目指し、持続可能な国際スポーツイベント開催の実現に向けた研究に取り組んでいます。

 

Journal of Sustainable TourismのTwitterに掲載された画像Journal of Sustainable TourismのTwitterに掲載された画像

 

世界スポーツツーリズム大会で「Top 5 Best Practices」に選出された研究発表スライド世界スポーツツーリズム大会で「Top 5 Best Practices」に選出された研究発表スライド

 

ラグビーワールドカップ2019の写真

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選出された研究発表スライド

 

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