保見団地における南米移民の子どもの学習保障

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教育
2023/06/21

教養教育研究院
三浦 綾希子 准教授

 文部科学省の調査によると、2021年度公立学校に在籍している外国籍児童生徒数は11万4853人、そのうち日本語指導が必要な外国籍児童生徒は4万7619人となっています。中でもここ愛知県は、日本語指導が必要な児童生徒が全国で最も多く、1万749人にのぼっています。第2位の神奈川県が5261人ですから、愛知県の日本語指導が必要な子どもの多さは全国でも突出していると言うことができます。

 ただし、小学校、中学校に比べ、高校における日本語指導が必要な生徒は相対的に少ないのが現状です。なぜでしょうか?日本語指導が必要な生徒にとって、高校進学のハードルは高く、高校に進学できない子どもたちが多くいるからです。

 こうした子どもたちの学習をサポートするべく、支援を行っているのが「NPO法人子どもの国」です。子どもの国は、豊田キャンパスのすぐ近くに位置し、全国有数のブラジル人集住地区である保見団地で活動を行っています。中京大学の学生たちもここで学習支援ボランティアをしており、宿題やテスト前に押さえておくべきところなどをマンツーマン形式で子どもたちに教えています。中京大生の中には、自身も日系ブラジル人だという学生もいます。南米移民の子どもたちにとって、同じルーツの大学生はロールモデルとなり、進路を考える上で重要な存在になっていると言います。

 また、中京大学の教員が中心となり、保見団地に暮らす南米移民の親たちの教育意識に関する調査も行っています。

KAKEN 移民集住地区における日系ブラジル人の教育戦略-世代・階層の違いに着目して

 子どもにより質の高い教育を受けさせたいと考える親たちは少なくないですが、そのための情報が十分に行き届いていないという問題があります。

 表向きは、日本には移民がいないということになっていますが、何十年も日本に暮らし、生活基盤が日本にある外国出身の人たちは少なくありません。また、日本で生まれ育ち、日本の学校で教育を受けている子どもたちも多くいます。こうした人たちが自分の希望する進路を歩めるよう、支援体制を整備していくことは喫緊の課題となっています。

 

南米移民の子どもたちの前で進路選択に関することなど、自身の経験を話す中京大生。南米移民の子どもたちの前で進路選択に関することなど、自身の経験を話す中京大生

 

 

ボランティア卒業時に支援していた中学生から記念品をもらう中京大生。卒業後も時間をみてボランティアに来てくれる学生もいます。ボランティア卒業時に支援していた中学生から記念品をもらう中京大生
卒業後も時間をみてボランティアに来てくれる学生もいます