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情報科学やコンピュータは,人間の本性を探るための手段と考え,日夜思索に耽っています.現在の大きな関心事は,リチャード・ドーキンスが「ミーム」と名付けた文化の遺伝子を,数学基礎論,脳科学,認知科学,心理学,進化論,複雑系の科学 (自己組織化 )といった多様な面から解釈し,その実体を探ることです.
そして,もう一つの関心事は,地域インターネット基盤整備です.1992年に中京大学の福村先生を会長として「東海インターネットワーク協議会」が生まれました.
当時,中部電力の研究所にいた私は,この活動に参加し,地域の仲間と地域におけるインターネットの普及,啓蒙活動に関わってきました.1995年には,協議会から ISP事業を分離し「東海インターネット株式会社」を発足させ,その後 2000年まで ISP事業に携わりました. 2000年に中部電力へ呼び戻され,データセンタの構築や FTTH実験の手伝いなどを行った後,会社を辞めて仲間とインターネット関連の有限会社リフレクションを興しました.中京大学へは 2002年から着任していますが,現場を重視し会社役員との兼業を続けています.
20数年インターネットに関わってきて,今感じているのは,あまりに未完成なままの技術があまりに急激に普及してきていることへの大きな危惧です.
http://www.e-ontap.com/summary/ を見て頂ければわかりますが,インターネットの根幹の DNSがまるで信用できない状態にあります.現在のインターネットは,お金やプライバシー,ましてや命を預けるにはあまりに脆弱な状態にあり,とてもインフラと呼べる代物ではありません.
インターネットというおんぼろの技術にいくらツギハギをあてても安全にはならないでしょう.いまやらなくてはいけないのは,インターネットとはなんであるか,それをどう使うのが良いのかを再考することです.
こうした観点から今取組んでいるのは主として以下の3点です.
1. セキュリティ技術
第一に,インターネットを不安定にしている2大要素であるDNSと spamの問題を中心に,どうすればインターネットを延命させられるかを研究するのが現在の最重要テーマです.
2. 地域内ルーティング技術
(http://www.can.initiative.jp/ 参照)
第二に,現在のインターネットはとても脆弱です.東京中心のネットワークトポロジーを成している日本のインターネットは特に脆弱であるといえます.世界よりもまず地域が安心して利用できるネットワークを構築することを目指した研究を進めています.
3. 地域情報流通技術
第三に,地域のサーバやコンテンツを流通させていくには,DNSはもう頼りになりません.現在 DNSに頼らない新しい情報交換手法の研究に取り組み始めているところです.
地域ネットワークに必要なこれらの取り組みに対し,我こそはと思える学生のみなさんの参集に期待しています.
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