Discussion Paper No.2403

Abstract :
2024年度,森林環境税が国税として1人年額1,000円徴収されるが,これに先立ち2019年度から森林整備の財源として森林環境譲与税が市町村と都道府県に対して譲与されている.この譲与の配分基準は各市町村の私有林人工林面積が50%,林業就業者数が20%,人口が30%となっている.森林環境譲与税は本来,市町村では森林整備およびその促進に関する費用に,都道府県においては森林整備を実施する市町村の支援に関する費用に充てられることとされている.しかし,現行の基準はこれらの趣旨に即していない.実際,間伐をはじめとする森林涵養の必要な山間地域への配分が不十分であり,都市部に手厚い配分となっている.このため,基準の改正を求める声も大きく,2024年度税制改正大綱において私有林人工林面積の比率を上げ,人口の比率を引き下げる改正案が盛り込まれることとなった.本研究では,今回の改正案に基づいた1,741区市町村への配分額を算出し,従来の基準による配分額と比較するとともに,森林環境の保全や山間地域の現状に合致した望ましい配分基準のあり方について検討することを目的とする.

Keyword: 森林環境税,森林環境譲与税,課税,算定方法,税の配分
Keyword: forest environment transfer tax, forest environment tax, taxation method, tax distribution
JEL classifications: Q23,Q28