第2回 八事セミナー(平澤誠 氏)

要旨:
本研究では、個人の異質性(生産性の違い)と育児における育児時間と家庭外育児サービスの間の代替可能性を考慮に入れて、年金制度改革が労働供給や個人の出生選択、制度の維持可能性に及ぼす効果を検討した。育児における時間コストと財コストは生産性の違う個人間で異なるため、年金規模の拡大が引き起こす育児投入間の代替への効果も個人間で異なる。しかし、賦課方式の年金制度のもとで給付を通じて再分配が完全に行われる場合、ある条件のもとではその規模の拡大は子どもを持つ親の数を増加させることが示された。