6月の経済研究所セミナー

要旨
 2013年6月7日、Aarhus University のTor Eriksson 先生をお招きし、企業の組織形態と経営状況・賃金との関係についてセミナーを開催した。企業の人的資源管理の組織形態は、Uタイプ、Mタイプ、Hタイプの3つに分けられる。Uタイプとは経営者の下に各部署が設置されている組織形態、Mタイプとは経営者の下に事業部が設置され、それぞれの事業部に各部署が設置されている組織形態、HタイプとはUタイプとMタイプを合わせ持つ組織形態である。操業の続いている企業の多くはUタイプである。本研究では、Uタイプであることが利潤最大化を達成し易くするのか、他のタイプの方が経営状況や賃金などのパフォーマンスを上昇させるが他の何らかの要因がそれを阻害しているのかを分析している。デンマークの事業所に独自アンケートを送り、1990年に行った調査と合わせ、パネルデータを構築して推計している。その結果、企業規模や産業をコントロールしてもMタイプやHタイプの組織形態をとる企業の方が、経営状況や賃金のパフォーマンスが高い。但し、MタイプやHタイプの賃金の分散は大きい。そこで、次になぜパフォーマンスに差が出るのかを分析しようとしている。当日は多くの教員が出席し、活発な議論がなされた。 
(経済学部 風神佐知子)