2月の経済研究所セミナー

日時:2012年2月16日(木) 16:30 ~
会場:中京大学八事キャンパス14号館(研究棟)4階・経済学部会議室
講師:清田耕造氏 (横浜国立大学大学院国際社会科学研究科・経営学部 准教授)
タイトル:Industrial Upgrading in a Multiple-cone Heckscher--Ohlin Model: The `Flying Geese' Patterns of Industrial Development

概要:

雁行形態論の名で国際的に広く知られる赤松要氏の理論は、各産業において、それぞれ輸入の次に生産、生産の次に輸出が時間を通じて発生するという法則を指摘するものである。さらに、どのような産業がより早くこのようなプロセスを辿るのかについて、消費財から資本財へと時間を通じて移っていくことも雁行形態論の示すところである。

この理論を実証的に分析した研究は少なくないが、清田耕造氏の研究報告は、国際貿易モデルに明示的に基づいた実証分析を行った点において、新しい試みである。とくに、いわゆるconeが複数あるようなヘクシャー・オリーンモデルに立脚し、1975年から2006年の日本のデータをもちいて分析を行っている。主要な結論は、このようなcone が複数ある貿易モデルは、日本が雁行形態論と整合的な産業発展を遂げていたことを示しているということである。この結果は、雁行形態が示す産業の発展プロセス説明する上で、上記のような貿易理論モデルが有益であることを示唆している。

 

極めて活発な議論が行われ、報告者と中京大学経済研究所スタッフのあいだに、刺激的かつ有益な知的相互作用があったと思う。(2月16日、名古屋キャンパス15号館中会議室)

(経済学部准教授 古川 雄一)