News&Topics

2016/09/26

本学保有の1875年製「スクエアピアノ」初演奏 寺本みなみ・みずほデュオ、中京大学フィルハーモニー交響楽団が公開講座で共演

  「スクエアピアノ」のまろやかな音色がよみがえった――。
  中京大学公開講座の文化・芸術・教育シリーズ第55回「クラッシック音楽への招待状」が9月25日(日)、名古屋キャンパスのアレーナ211で開催され、愛知県豊田市出身の寺本みなみ・みずほ姉妹のデュオと中京大学フィルハーモニー交響楽団のアンサンブル(9人編成)が共演した。プログラム後半、本学保有の「スクエアピアノ」(1875年、スタンウェイ社製)が初披露され、来場客約280人が19世紀ピアノ音楽を堪能した。

デュオ IMG_6437.JPG コラボ IMG_6441.JPG
  スクエアピアノを使った寺本姉妹の演奏    学生たちと寺本デュオの共演


  安村仁志・中京大学学長は冒頭、「たくさんの方々と日曜の午後を過ごすことができて光栄です。市民の方々に大学を開放し、こうしてコンサートが開けたことをうれしく思います」と挨拶し、スクエアピアノの由来、各楽曲の解説をした。第1部ではアンサンブルの演奏に続き、国内外で演奏活動をする寺本姉妹がドビュッシー作曲の「喜びの島」などを披露。第2部で寺本みなみさんがスクエアピアノを奏で、アンサンブル、寺本デュオによるヴィヴァルディ作曲「四季」作品8より「春」が演奏された。

 演奏に使われたスクエアピアノは、世界最高峰のピアノメーカー、スタンウェイ社ニューヨーク工場で1875年に製造された。演奏できるピアノとしては日本で3番目に古い。アメリカ在住の国際的ピアニスト、池宮正信さんが1982年ごろ、アメリカの公民館倉庫で発見した。池宮さんは全て解体して組み立て直し、日本での演奏にも使ったことがある。池宮さんの妹、浜本百合子さん(静岡在住)が一時保管していたが、「大切に保管していただける方にお譲りしたい」との池宮さんの意向を受け、2007年に中京大学が譲り受けた。

 中京大学では名古屋の文化振興のため、中京大学文化市民会館(現・日本特殊陶業市民会館)で展示し、一般公開してきたが、2012年以降は演奏会場となったアレーナ211で展示してきた。スクエアピアノは方形で、弦が横向きに張られ、底板がある。箱状の本体を共鳴させるため、サロンでの演奏に適しており、18世紀、19世紀にはヨーロッパの宮廷やアメリカの上流階級の家庭で愛されてきた。

共演 IMG_6447.JPG 見物 IMG_6481.JPGのサムネール画像 
      来場者も注目した共演   演奏会後、スクエアピアノを見学する来場客

 演奏会には浜本百合子さんも駆けつけ、「弾いていただくのがピアノにとっても一番の幸せです。兄も喜んでいます」と語り、スクエアピアノの復活を喜んでいた。また、スクエアピアノを演奏した寺本みなみさんは「スクエアピアノを弾くことができて幸せな気持ちです。学生さんとも共演で来て、プロとかアマチュアの垣根を越えた音楽を楽しむ気持ちが共有できました」と語った。共演した洞田(ほらだ)拓磨さん(総合政策学部3年)は「プロの方と貴重な体験ができました。また指導を受けることもでき、新鮮な気持ちになりました」と感想を述べた。

浜本さんと学長 IMG_6494.jpg 来場者 _6421.jpg
    浜本さん(左)と安村学長    ほぼ満席となった会場のアレーナ

 


  演奏会に寄せて、池宮正信さんから次のメッセージが届き、安村学長から紹介された。
 
 私が長い間愛用していたNYスタインウェイのスクエアピアノでの演奏会開催、とても嬉しいです。ピアノも喜んでいると思います。
 私はピアニストとして40年以上アメリカを中心に演奏活動をしています。スクエアピアノを時々教会やNYのメトロポリタン美術館などで見掛けたのをきっかけに、美しい形とオルゴールのような繊細な音色などにすっかり心を奪われてしまいした。
 スクエアピアノはベートーヴェンやモーツァルトらが愛用していたフォルテピアノと現代ピアノの中間に位置し、現代ホールにも対応可能なフォルテピアノの柔らかい音色が堪能できます。ショパンは「ノクターンやマズルカなどの親しみ易い曲は、スクエアピアノで弾きたい」と言っていたと伝わっています。
 ドイツやイギリスなどで作り始められたスクエアピアノは18世紀末からアメリカにも輸入され、アメリカにおいて高度な発展やスタインウェイ等によって改良がなされ19世紀にはアメリカの方が大量に製造されるようになり、19世紀半ばにアメリカで全盛期を迎えとても愛されました。私はクラシックと共にアメリカ音楽・ラグタイムも演奏しますが、ラグタイムで20世紀初頭にアメリカで一世を風靡したスコット・ジョプリンが、子どもの頃レッスンを始めたのもスクエアピアノだったそうです。
 NYのメトロポリタン美術館の楽器部門責任者ローリ・リビンは「スタインウェイ等アメリカ製のスクエアピアノの素晴らしさをもっと認めるべきだ。」と熱狂的なファンのひとりです。
 構造上では弦が横に張られ、音響板は演奏者に向け開くようになっています。ですからピアニストの背中と鍵盤を見ながらの演奏会となります。それも含め、1~2世紀前の音楽会の様子を想像しながら楽しまれるのも一興かと思います。演奏されるピアニスト、会場におられる皆様が、スクエアピアノに魅了され幸せな時を持たれますことをアメリカの地から願っています。また近い将来私もこのピアノと再会し音を奏でることが出来ればこんなうれしいことはありません。
 私の挨拶文を読み上げて頂き、たいへん光栄に思い、感謝致します。

           米国メイン州 森の中のピアノスタジオより 2016年9月 池宮正信