教員紹介

電気推進工学研究

宇宙空間を飛翔するための宇宙・電気推進システムの研究

電気電子工学科 上野 一磨

自己紹介

 1980年7月生まれ。東京都調布市で育つも、中高大院と神奈川県の学校に通い、人生のほとんどを神奈川県で過ごす。幼稚園生の頃に宇宙で動く機械を作りたいと思ったことがきっかけで宇宙工学を選択。大学の新入生オリエンテーションで出会ったレーザ推進(特にプラズマの生成・加速過程)に魅了され、電気推進への道を歩み、現在に至る。
 学部4年時より宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所にて研究をする機会に恵まれ、学生時代には小惑星探査機はやぶさの帰還運用を、研究員時代には小惑星探査機はやぶさ2のイオンエンジン開発に従事する。民間企業では、これまでの研究・開発経験を活かしてISS(国際宇宙ステーション)支援業務に従事する。
 現在は、研究だけではなく宇宙開発の現場での経験に基づいた、机で考えるだけではない、「手も頭も動かすものづくり」をモットーにした教育研究活動を実施している。

研究内容

電気推進工学、太陽風と人工磁場の干渉など宇宙環境を利用する推進工学

1.太陽風と人工磁場の干渉を利用した磁気プラズマセイル推進に関する研究
 磁気プラズマセイルは、太陽風と呼ばれる太陽から噴出しているプラズマの流れを宇宙機に搭載した超伝導コイルが作り出した磁場をさらに拡大した磁場によって受け止め、その反力を推進力にして宇宙空間を飛翔する推進機です。衛星に搭載される一般的な推進器が推進剤(燃料)を噴射・加速した反力で推進力(推力)を得るのに対し、磁気プラズマセイルでは帆を広げるために推進剤を使うという特長があります。本研究では、実現に向けて推進性能の向上を目的とした実験研究を実施しています。

図1.地上実験における磁気プラズマセイル周りの流れ場の様子
  (左:磁場拡大前、右:磁場拡大後)
磁気プラズマセイル周りの流れ場の様子

2.MPDアークジェット(プラズマ風洞)に関する研究
 MPDアークジェットは、推進剤ガスを放電によってプラズマ化し、そのプラズマを加速・排出することで高速・高密度なプラズマ流を発生させることができます。本来は、電気推進器として使われるMPDアークジェットですが、高速・高密度なプラズマ流を発生させられるという特長を活かして、磁気プラズマセイル研究などではプラズマ風洞として利用しています。本研究では、プラズマ風洞の高性能化を目的とした実験研究を実施しています。

図2.MPDアークジェット(左)と真空チャンバ内での動作時の様子(右)
MPDアークジェット
主な研究業績(論文、学会、招待講演)

1. 上野一磨, 大塩裕哉, 船木一幸, 山川宏, 太陽系内高速飛翔を目指した磁気プラズマセイル推進機の研究, Plasma Conference 2014, 19aD2-2, 11, 18-21,2014 朱鷺.(招待講演)

2. K. Ueno, Y. Oshio, I. Funaki and H. Yamakawa., Experimental Simulation of Magnetoplasma Sail for Thrust Measurement, Fusion Science and Technology, Vol.63, No.1T, 2013, pp.392-394.

3. Ueno, K., Ayabe, T., Funaki, I., Horisawa, H., and Yamakawa, H., “Imaging of Plasma Flow around Magnetoplasma Sail in Laboratory Experiment,” Journal of Plasma Fusion Res. SERIES, vol. 8, 2009, pp. 1585–1589.

4. Ueno, K., Oshio, Y., Funaki, I., Yamakawa, H., and Horisawa, H., “Thrust Evaluation of Magnetic Sail in Laboratory,” Journal of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, vol. 59, Sep. 2011, pp. 229–235.

5. Ueno, K., Funaki, I., Kimura, T., Horisawa, H., and Yamakawa, H., “Thrust Measurement of a Pure Magnetic Sail Using Parallelogram-Pendulum Method,” Journal of Propulsion and Power, vol. 25, Mar. 2009, pp. 536–539.

6. 西山和孝, 細田聡史, 上野一磨, 月崎竜童, 國中均, はやぶさ2用イオンエンジンの開発状況, 平成25年度宇宙輸送シンポジウム, STEP-2013-023, 2014年1月16-17日, 相模原.

7. 細田聡史, 西山和孝, 上野一磨, 國中均, はやぶさ後継機搭載用マイクロ波イオンエンジンの開発, 第53回航空原動機・宇宙推進講演会, JSASS-2013-0006, 2013年3月4-5日, 倉敷.

略歴
  • 1999年 桐蔭学園高等学校 卒業
  • 2006年 東海大学 工学部 航空宇宙学科 卒業
  • 2008年 東海大学大学院 工学研究科 航空宇宙学専攻 修士課程 修了
  • 2011年 総合研究大学院大学 物理科学研究科 宇宙科学専攻 博士課程 修了、博士(工学)取得
  • 2011年 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 宇宙航空プロジェクト研究員
  • 2014年 M・S・K 株式会社 (技術派遣先: 有人宇宙システム株式会社 有人宇宙技術部) 勤務
  • 2015年 中京大学 工学部 電気電子工学科 助手
採用歴
  • 2004年-2005年 国立天文台 技術支援員
  • 2005年-2006年 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 技術研修生
  • 2006年-2008年 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部 特別共同利用研究員
  • 2014年-2015年 宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 船木研究室 特定課題共同研究員