教員紹介

知的情報処理研究室

生体システムにヒントを得た情報処理の研究

電気電子工学科 青森 久

研究紹介

 生体の情報処理機構は,現在のコンピュータでは実現が困難な高度で複雑な処理を容易に行う能力を持っています.この優れた情報処理機構をコンピュータ上に実現できれば,コンピュータは現在よりも賢く柔軟性を持ち,我々の生活をさらに便利にしてくれるツールになると考えられます.この優れた情報処理機構は,非線形素子である神経細胞が複雑に結びついたネットワークの機能により実現されていますが,どのようにして知的で柔軟な情報処理を行っているのか,その原理はほとんど明らかにされていません.そこで,当研究室では,脳や生体にヒントを得た情報処理機構を工学的に実現する研究だけではなく,神経回路網のダイナミクスの解明や網膜系情報処理機構のモデル化を理論・計算機シミュレーションなどを通して多角的に研究を進めています.以下に現在の主な研究テーマを示します.

網膜系ニューラルネットワークによる画像符号化
 近年では,高精細画像が医療や芸術に利用されています.また,高画質ディジタルカメラの普及により,高精細・高階調画像データが身近な存在になりました.このため,これらの画像に対する効率的な符号化方式の必要性が高まっています.当研究室では,生体の視覚システムの持つ優れた画像処理機能に着目し, 網膜系ニューラルネットワークによる高能率可逆符号化方式について研究しています.
網膜系人工神経回路網による画像符号化
視覚システムのモデル化とA/D変換手法の提案
 生体の視覚システムでは, 入力された映像情報 (アナログ情報 )を神経パルス (デジタル情報 )に変換し,神経回路網に情報を伝送しています.伝送された神経パルスから視覚野にて映像情報を復元することにより,我々は様々なものを見ることができます.この仕組みは網膜により優れた A/D変換が行われている事を示唆しています.当研究室では,この機構を網膜系ニューラルネットワークを用いて構築する事により,網膜系ニューロダイナミクスの解明を行うと共に,新しいA/D変換の手法について検討しています.
網膜情報処理に基づく AD変換法

 これ以外にも,「機械学習と最適化」をキーワードに,鳥の群れが協調して移動したり,餌を探したりする生物の群れの知能などにヒントを得た学習・最適化方法についての研究や,入力されたデータと観測されたデータから自動的にデータ間の因果関係を明らかにする手法を構築する研究なども行っています.

学生の皆さんへ
本質を大切に
 大学の講義は高度で専門的ですので,「数式の暗記だけで済まそう」としがちですが,知識を吸収するためには,「モデルの本質を理解する」事が重要です.最近では,優秀な視覚化ツールや計算ツールなどがありますので,様々な道具を使いこなしつつ数式に隠されている本質的な意味を理解するよう努めて下さい.
様々な事にチャレンジしよう
 学生時代ほど自由な時間はありません.勉強の妨げにならない範囲で,サークル・旅行・インターンシップ・アルバイトなどに積極的にチャレンジし,様々な事を体験してください.その経験はその後の人生の糧となるはずです.
略歴
  • 2002年 上智大学 理工学部 電気・電子工学科 卒業
  • 2004年 上智大学大学院 理工学研究科 電気・電子工学専攻 博士前期課程 修了
  • 2007年 同大学院 博士後期課程 修了 博士 (工学)
  • 2007年 上智大学 理工学部 電気・電子工学科 嘱託助教
  • 2008年 上智大学 理工学部 特別研究員
  • 2009年 東京理科大学 理工学部 電気電子情報工学科 嘱託助教
  • 2012年 中京大学 情報理工学部 講師