ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ページ
97/198

このページは 中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号 の電子ブックに掲載されている97ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

向について概観する。(1)生活拠点人間の生活環境は住居などの生活拠点に大きく左右される。2011 年3月の原発事故後、アンケート対象者の居住地は、放射能に晒されているという特殊性がある。そのため、アンケート対象者は、後にみるように、生活環境に変化が生じた結果、様々な不安を抱え、何らかの対処行動をとっている。また、その変化が子どもと母親自身の健康認知や苦悩に影響を及ぼしている可能性がある。こうした問題を根本的に解決するためには、生活拠点が放射能に晒されている状態を解消する必要がある。そこで、アンケート対象者は次のような行動を検討し、実行している。①生活拠点を変更する(避難関係)②一時的に遠出する(保養関係)③放射能を取り除こうとする(除染関係)しかし、いずれも難点があり、アンケート対象者が抱える問題を抜本的に解決するには至っていない。このことを前提として、アンケート対象者の生活環境にどのような変化が生じているのかを具体的にみていこう。(2)(食)生活アンケート対象者は様々な不安を抱えているが、中でも健康に関する不安が大きい。例えば、食による内部被ばくの不安がある。この不安から、地元産の食材や水道水を避けようとする対処行動が生まれる。その背景には、情報不信もある。その結果、家計負担が増加し、経済的な不安につながっている。また、放射能が洗濯物に付着したり家屋に浸入したりする不安から、洗濯物の外干しを避けているという意見もある。1,200 Fukushima Mothers Speak(成元哲・牛島佳代・松谷満) 95( 95 )