ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

つの極大値に対応する負荷行列を表3 と同様の方法で示したものである。表4(q=4)については,極大の解は真の最適解から著しく異なっていき,本来の解とは似ても似つかぬものとなる。最大化基準そのものの値も,真の最大値より0.5 以上小さいものが含まれる。それに対して,表5(q=5)については,真の解とあまり違わない解が並んでおり,最適化基準の値も,真の最大値と0.04 程度の差があるにすぎない。このように見ると,q=4 の(真の)最適解の基準の値は,いわば周辺の極大値から孤立している一方,q=5 の解はその近傍(Givens & Hoeting,2013)に類似した解が「まとわって」いることがわかる。その意味で,ユーザーとしてはq=4 の解を(あくまでも暫定的に)採用する方向に傾くであろう。この判断は,次のresampling の手続きによってさらに進められる。6. Resampling による確認的分析単純構造への回転をともなう因子分析は,前述のように,探索的(exploratory)方法と呼ばれ,解全体に対しても,個々のパラメータの推定値に対しても,推測統計学的な推定,検定の処置はなされないのが普通である。しばしば,得られた因子負荷量から(しばしば完全単純構造の)仮説を導き出し,同じデータにその仮説を当てはめるという形で確認的分析が行われることがあるが,これは,推測統計学的手法の誤用として非難されるであろう。この問題の最も単純で明快な説明は吉村(1969)参照iv。しかしながら,探索的方法といえども,サンプリング誤差の存在に対して,なんらの対策もとらないならば,その結果にもとづいて,さらに進んだ分析,たとえば潜在方程式モデルの利用等に進むことはためらわれるであろう。また,もし尺度を個人のアセスメントに用いる等,個人の処遇にかかわる目的で使用するならば,その尺度について一定の推測統計学的裏づけは必要とされよう。実際,回転を伴う因子分析においても,負荷量の標準誤差を算出する方法は知られている(たとえば,市川,2010)。しかしながら,こうした方法は必ずしも活用されているとは言えない。78( 78 )