ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

と言うよりもむしろ、「介護する側の人間的な豊かさが、介護を受ける側の豊かさを規定する」とし、「援助における相互の人間関係をともすれば忘れがちな、一方通行的でかつ利用手段化された関係性を超えたもの」として「関係性(援助)をとおしての自立」「援助を使った自立」を想定した(北野1988 : 35)。この時点では、どういったシステム(例えば、ダイレクト・ペイメントによるパーソナル・アシスタント)により、介助が提供されるかというよりは、障害当事者を主体に据える介助とは何か、その担い手であるパーソナル・アシスタント(当時の北野の文書ではアテンダント)とは、どのようなものなのかについての検討を行っている。これは、「重度の障害者や高齢者ほど、つまりは介助サービスを必要とする量が増えるほど、サービスを提供する側から支配され、コントロールされる可能性も高くなることである。年に1 回や2 回のことであれば洗濯や決定できないことがイコール人間性の喪失にはつながりにくいが、サービスを必要とする量がふえればふえるほど、本人の自己決定や自己選択が尊重されねばならないのである」(北野1993 : 56)という記述にあるように、介助する側のあり方、理念がどのようであるべきかということの強調ともいえよう。-2 障害当事者の主張-ラツカによるパーソナル・アシスタンス-1990 年代に入り、河東田も1991 年の国際シンポジウム「ノーマライゼーションの現在-世界の到達点は」実施に向け、ラツカの1986 年講演を翻訳し、パーソナル・アシスタンスのもつ障害当事者支援のあり方、理念を提示している(ラツカ1991=1997)。ラツカの主張を通して、障害当事者の生活に関する専門家支配に対する疑問を呈したといえる。ラツカは、バークレーでの生活経験があり、「サービスの質は、当事者一人ひとりが最大の管理をもつとき、最高となる」(ラツカ1991=1997 : 8)と主張し、また、「介助者との関係、介助をつけての社会との関係は直接6( 6 )