ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

さらに,q=p であれば,すべてのクラスターに1 つずつの項目が属し,説明力は100% に到達する。これは,負荷行列が単位行列で,主成分間相関行列がもとの項目間相関行列に等しいという,つまらない(trivial)解であるが,q<p の場合の各クラスターの最大固有値の和をp で除して解の説明力をパーセントで表わすことを正当化するものである。望ましい単純構造は達成できるか単純構造とは何だろうか。因子分析の多くの方法には,変数のグルーピング,またはクラスタリングという意味があるとすれば(Harman, 1967),単純構造には分類としての適切性が含意されているはずである。それは,次の芝(1979 ; p.96)の定義によく表されている。(1)各変量は1 つの因子にだけ高い負荷を示すこと。(2)各因子において高い負荷を示す変量の数はほぼ等しくなること。まず,(1)は,いわばあいまいさの回避,各変数が一義的に特定のグループに属することが判定できるということである。(2)は,多くの変数が少数のグループに集中してしまわないことであって,これも分類としての良さであろう。芝の定義の(1)は,ここで提案している方法では,定義により自動的に満たされる。他方,(2)についてはデータ次第と言わざるを得ない。すなわち,この方法には,変数を多くのグループに分散させるという性質は備わっていない。そのことを示唆するのが,次の命題4 である。命題4 項目をq(<p)個の群にクラスター化するとする。すべての項目間相関係数が等しいとき,すべての分類における最適化規準は等しい。すなわち,いかなるクラスタリングも同等である。証明それぞれのクラスターに含まれる変数の数をp1,p2,…,pq とする。p1+p2+…+pq=p である。また,すべての項目間の相関係数をr とする。このとき,クラスターl の変数群間相関行列の最大固有値は, である(たとえば,Schott, 1997 ; p.100)。その全クラスターにわたる総和完全単純構造・主クラスター成分分析・resampling による確認(村上) 67( 67 )