ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

2.探索的因子分析利用上の問題点1 節で述べたような理念が,現実のデータ分析においてどの程度満たされるかを見るために,1 つの例を挙げてみよう。表1 は,Mehrabian &Epstein(1972)による情緒的共感性尺度(Emotional Empathy Scale :EES)の日本語版を1645 名の大学生に実施した結果(中村,2000)を,主成分分析(いわゆる因子分析主成分解)し,プロマックス回転を行って得られた因子パターン行列である。なおこの表の右端の列,R 2 は,通常の因子分析では共通性と呼ばれるが,主成分解では個々の変数の全因子への重回帰による重相関係数の2 乗である。パターン行列の係数は,標準偏回帰係数なので,その2 乗和とR 2 は一致しない。また,斜交回転では全変数による因子は,説明力を因子ごとに分解することができず,表の「因子寄与」の欄は空欄となっている。他方,全体としての説明力は計算でき,これはR 2 の和と一致する。しばしば行われるように,高い負荷量(ここでは,絶対値が0.4 以上)をゴシックで示している。負荷量の符号は,因子(得点)が大きいほど(常識的な意味で)共感性が高くなる方向に変換している。すべての因子間相関係数は正だから,これらの因子が全体として共感性と解釈される潜在的な属性と関連していると考えられよう。項目の配列順は,後に本研究で提案する方法による4 因子(クラスター)解に合わせてある。因子は順に,「感情の伝染」,「共感の理解」,「感情移入」,「道徳的共感」と名づけることができようii。この表では,22, 15 など複数の項目の負荷量が低く,どの尺度にも加えることができないと判断されるであろう。信頼性にこだわる限り,一部の項目の取捨選択は必要である。一般論として。この手続きには,次のような問題点が指摘されるであろう。1)項目の分類だけが目的であるとすれば,手続きが複雑である。因子抽出と回転の2 つの段階に分かれ,それぞれに,多数の選択肢があっ完全単純構造・主クラスター成分分析・resampling による確認(村上) 51( 51 )