ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

段として用いられている(Carmine & Zeller, 1979)。すなわち,単純構造化された因子負荷行列の列ごとに,高い(salient)負荷量をもつ項目を選び出し,項目を相互に背反なグループに分類して,それらの項目反応の合計点によって個人差測定尺度を定義するわけである。このような手続きは,従来,必ずしも厳密な理論的考察を経ないまま,一種のheuristics として活用されてきた。それにもかかわらず,パーソナリティの5 因子理論のような個人差査定の重要な枠組みを,試行錯誤を経ながらほぼ確立してきた(Digman, 1996)ように,因子分析は,種々の心理学研究の中で重要な役割を果たしてきた(たとえば,Streiner &Norman, 2003)。ただし,近年の確認的因子分析の手法の台頭により,研究の進行とともに,探索的因子分析の守備範囲は徐々に狭まっており,主に尺度構成の初期の段階に限定されつつある。しかしながら,明確な概念の定義も仮説も存在しない研究の初期の段階では,他に替わりうる方法がなく,探査的分析の必要性は失われていない。構成された尺度の質は,しばしば信頼性係数の下限であるCronbach のα 係数(Cronbach, 1951)によって評価される。これは項目間相関係数がほぼ等しいという条件のもとに,次で算出される。(1)ここで,pl はl 番目のクラスターに属する項目数, はそれらの項目間相関係数の平均値であるi。実際,個々のクラスター内部で平行測定(parallel measurement),すなわち,すべての項目が同じ真の得点と同じ分散をもつランダム誤差であるという仮定が成立するならば,すべての項目間相関係数は等しいことになる(たとえば,Carmine & Zeller, 1979, p.33)。その相関係数をrl とすると,そうした条件の下でα 係数は,次のように書けることになる。(2)48( 48 )