ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

在を指摘するだけでなく、それが公共善や社会的公正についての議論の場になっていることを述べ、その議論自体の経緯も記述、分析すべきである。上記の社会的世界としての公共圏とは区別して、ブルジョワ革命期に生じ、一回限りの歴史的現象として語られる市民社会をもたらす公共圏の考え方は、18 世紀にはじまる歴史の巨視的な動きを、清新な社会学的視野において捉えかえすうえで有効である。注1 著書名として定着した『公共性の構造転換』のタイトル表記以外のOffentlichkeit の訳語は、引用文、本文ともにすべて公共圏とした。2 ハバーマス自身の概念使用の検討をおこないつつ公共圏の分析を試みた最近の文献として、飯島(2012)、宮本(2012)を参照。3 コミュニケイションの表記は、ハバーマスの訳書の表題のみは現行表記を活かし、引用文などでは本論でベースとしている英米系の翻訳表記にしたがい「コミュニケーション」と直す。同様に本論中に引用された訳文の表記は、他の点でも本文に合わせて細部を手直ししている。4 バージェスを中心とする社会調査史については、鎌田・中野(2003-05);鎌田(2008, 2010, 2011)など、漫画(マンガ)史については鎌田(2011a)などを参照。また本論は、多岐にわたるハバーマスの業績のうち、こうした目的に関連する側面に的を絞って論じたものであることを付言しておく。5 「自らをふり返る」という言葉はreflexive の訳語としてもちいる。6 ブラヴォイの叙述は以下の通り。ただし本論では、[……]は引用者(鎌田)による省略を意味する。[……]社会学は、社会的なものの拡大という利害関心を持ちつつ市民社会に依拠する。/[改行] だが市民社会とは何か。[……]それは19 世紀西欧資本主義の産物と定義できる。19 世紀の資本主義のために諸団体、運動、公衆などが作り出された。それらは国家と経済の外側にあり、政党、職能組合、学校教育、信仰集団、印刷メディア、多様な任意団体などである。このような団体生活の集積が社会学独自の持ち場であり、スターリンのソ連、ヒットラーのドイツ、ピノチェトのチリなどでのように、団体での活動が消滅すると社会学も消える。ペレストロイカのロシアやアパルトヘイト末期の南アフリカなどでのように、市民社会が栄え38( 38 )