ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

近年では、現場実践レベルにとどまらず、国の制度設計においても議論の俎上に載ることが多くなってきている。端的にパーソナル・アシスタンスを表現すれば、障害当事者主体の介助提供システムといえる。しかし、「パーソナル・アシスタンス」という用語1 つをとっても、そのとらえ方や障害当事者と介助の担い手である介助者との関係性は、歴史的経過の中では多様な扱われ方をしてきている。介助の仕組みを表すものとして、「パーソナル・アシスタンス」と表記することもあれば、介助者自身を指し示すものとして「パーソナル・アシスタンス」と表記するものや介助者自身のことを「パーソナル・アシスタント(Personal Assistant)」と表記する場合などがある。特に、措置制度に基づく介護提供時代に、アメリカを中心とした障害当事者が介助者を直接雇用する介助提供の仕組みを日本に紹介した1980 年代当初では、この用語の扱われ方については十分な整理がなされていなかったといえよう。本稿の目的は、日本において障害当事者の意志に基づく介助の提供、なかでもパーソナル・アシスタンスの考え方がいつごろ、誰により、どのような文脈の中で論じられてきたのかについて整理を試みることにある。ここでは、現金給付による介助者の直接雇用のシステムのあり方(ダイレクト・ペイメントに基づくパーソナル・アシスタンス)を検討することよりはむしろ、障害当事者の意志に基づく介助と自立生活の実現の理念の移入、施策実施に向けた検討、議論を経て、どのように具現化してきたかの変遷を取り上げる。なお、本稿では、障害当事者の意志に基づき介助を提供する人を「パーソナル・アシスタント」と表記し、こうした介助の仕組みを「パーソナル・アシスタンス」と表記するが、引用等については、原文のままとする。1.介助者を選び・育てるという先駆的試み日本では、すでに1970 年代に障害当事者自らが介助者を選び、育て、生活を組み立てる仕組みが実施されている。それは、府中療育センターに2( 2 )