ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ン過程を通じて公衆一般に働きかける社会運動の場として、ハバーマスは公共圏を捉えている。そこで重要になるのは、非専門家である素人にも理解できるように論点を伝達する能力である。公共圏と呼ばれる領域には以下のような幅があるとハバーマスは指摘する。[……]公共圏はコミュニケーションの密度、組織の複雑さ、影響範囲の点でいくつかのレベルに分化するそれは、居酒屋、コーヒーハウス、路上でのごく一時的な公共圏20 から、芝居の上演、PTA、ロックコンサート、政党の集会、教会の大会など、催事としての、すなわちアレンジされた公共圏を経て、大きな地理的領域、または地球全体にすら散在する読者、聴衆、観客からなり、マスメディアによってのみつくられる抽象的な公共圏にまでいたる。(Habermas 1992a : 452=1996 : 374=2003:下105)また18 世紀末のブルジョワ革命の時期から重要な役割を果たしていた印刷物をはじめとするメディアの役割は、現代ではもっと大きくなっており、肥大化したマスメディアが国民と為政者の間に入って大きな影響力をもつようになる。社会問題が生活史に共鳴、反映するところで私的なものとして取りあつかわれる21 という点から、公共圏は一般公衆へのアピールを獲得する。こうした親密圏と公共圏の密接な結びつきは以下のようなことに特徴的にあらわれる。[……]17、18 世紀のヨーロッパ社会において近代的なブルジョワ公共圏が、「公衆として集約された私人の領域」として作りあげられたということがある。歴史的に見ると、公共圏と私的領域の関連は、新聞、雑誌を通じて結晶化した読者公衆としての、ブルジョワである私人のクラブや組織の形態にその姿をはっきり示す。(Habermas 1992a : 443市民社会をもたらす公共圏と社会的世界としての公共圏(鎌田) 33( 33 )