ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

かし本論には、ハバーマスが『コミュニケイション3 的行為の構造』(Habermas 1981=1985-87)で活用したシンボリック・インターラクショニズム(symbolic interactionism,以下、SI と略記)の文脈に、ハバーマスの議論を再び取りこみ直すという目的がある。すなわち、日常生活の観察から導かれるミクロな社会的世界に関する理論化のツールと見なされがちなSI の理論的伝統に、マクロな歴史分析の側面を取りもどすために、本論ではあえて公共圏概念の発生と展開をたどったあとで、SI の実証研究の枠組として活用されてきた社会的世界論やグラウンディド理論の展開に、公共圏概念の含意を再導入することを試みる。そうして接合された公共圏概念と社会的世界論の枠組を具体的に適用する領域として、論者は自身の従来の研究領域を補完、拡充する二方面を想定している。すなわち、日本で17 世紀以降に印刷物によって流通した漫画(マンガ)を中心としたビジュアル公共圏の通史、および19 世紀に社会学という用語が使用されはじめて以来の多様な理論、学説、社会における実践を、アーネスト・バージェスを中心とする初期シカゴ学派の社会学者たちが総合して、現状の社会調査を形づくり発展させた学説史の把握である4。1、公共社会学、公共圏、市民社会論まず本論の大前提として、19 世紀に発祥し20 世紀に大きな発展を遂げた学問である社会学のルーツを確認する。社会学の命名、発祥は、ハバーマスが論じるイギリスでの議会制の発達、アメリカ独立戦争、フランス革命における公共圏の発現の直後につづくものである。社会学は公共圏や市民社会の学であり、その主要な道具立ての一つは社会調査である。この点を過去にさかのぼって検討する際に役にたつ一節が、マイケル・ブラヴォイの、アメリカ社会学会会長講演における公共社会学の提唱に含まれている(Burawoy 2005)。ブラヴォイは社会学を専門、政策、批判、公共社会学の四部門に分け、20( 20 )