ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ユルゲン・ハバーマスの公共圏(Offentlichkeit)概念1 が、『公共性の構造転換』(Habermas [1962] 1990=[1973] 1994)で導入され、社会学の共有財産となってからおよそ半世紀ものときが過ぎた。本論は、この概念を社会学における歴史分析に使用するための再確認作業である。近年、本概念は多方面で活用され、公共社会学の基礎概念としても位置づけられている。しかし本概念はハバーマスの創案によるものというよりも、ギリシャ、ローマ時代の古代人の政治生活を念頭にハンナ・アレントが使用した概念を、ハバーマスが独自の意味づけを施しつつ取りいれたものである。しかもはっきりした定義がなく、ハバーマスの用語法においても『公共性の構造転換』以後、独特なひねりをともないつつ転用されてきた(花田1996, 1999;吉田2000)。こうした状況を踏まえて、公共圏概念を使用しようとする研究者は、特にハバーマスに言及することなく、彼の用例を微妙に言外に響かせる程度の意図をこめ、一般的な語彙としてこの言葉を自由に使いこなしている2。そのように、元来、はなはだあいまいな形で用いられてきた本用語に、あえて語義上の検討を加えようとする行為は無粋なものかもしれない。し市民社会をもたらす公共圏と社会的世界としての公共圏社会学研究の礎石としてのハバーマスとシンボリック・インターラクショニズムの融合鎌田大資中京大学現代社会学部紀要8-1 (2014) 19( 19 )