ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

コ店にいるのはどうかと思う。仕事をした方がよいと思う。同じ福島人としてはずかしい。」11.4 最後にこれまで紹介してきた自由回答の根底にあるものは、放射能被ばくによる子どもの将来の健康と差別への不安である。こうした不安は、原発事故後、福島県中通り9 市町村の多くの母親に共有されている。決してすべての母親が放射能不安を共有しているわけではないが、多数の母親がその不安を口にしており、すでに現実的な問題として対処を迫られている。これは、明らかに原発事故以前にはなかった新しい事態である。また多くの母親が、不安を語っているだけでなく、放射能への対処行動をとっている。そうした意味において、放射能不安は社会としての取り組みが必要な社会的不安となっていることを指摘しておきたい。付記調査にあたって協力いただいた福島県中通り9 市町村の親子ならびに後援をいただいた市町村・新聞社・団体の関係者にお礼申し上げる。また自由回答の入力ならびに分析作業をサポートしていただいた柴尾知宏、落合玲奈、井上美紀の各氏に感謝申し上げたい。本稿は筆者に加えて、阪口祐介、守山正樹、永幡幸司、高木竜輔、田中美加の各氏との共同研究に基づくものであり、科学研究費・基盤研究(B)「原発災害における母親のリスク対処行動の規定要因の探索と支援策についての研究」、同基盤研究(C)「災害ストレスに脆弱な母子に対する心理社会的支援とそのためのシステム構築」、2014 年度中京大学特定研究助成「原子力市民防災学の構築:福島とチェルノブイリの教訓を未来へ」による成果の一部である。なお、福島子ども健康プロジェクトの研究目的、速報値、新聞報道などに関しては次のホームページを参照されたい。(http : //mother-child.jpnwellness.1,200 Fukushima Mothers Speak(成元哲・牛島佳代・松谷満) 189( 189 )