ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

11.3 自由回答全体の関連図原発事故により、福島県中通り9 市町村の母子は、これまで暮らしてきた生活空間に放射能が降り注いだ。このことが母子のこれまでの生活を大きく変えるきっかけとなった。放射能が母子の生活変化をもたらしているが、その際、放射線量が高いか低いかといった点に加えて、放射能の健康影響をめぐる情報の不確実性が母子にとって大きな不安要因となった。例えば、放射能に関して、誰の、どの情報を信じればよいかわからないといった困った状況が発生したのだ。こうした状況は、行政や東京電力、医療関係者、専門家といった人に対する信頼が低下したことがその背景にある。また、放射能に関する考え方の違いや認識のずれが、母子の不安やストレスの源泉となった。こうした不安、ストレスに対して、避難・移住、保養、地元産の食材を避ける、子どもの外遊びを制限する、自ら除染を行うなどのリスク対処行動をとった。ただ、仕事や経済的なゆとり、知識といった社会経済的要因、家族構成、実家が県内か県外か、家族や周囲の理解、都市度などの地域要因が関わって、放射能に対する対処の仕方に違いが出てくる。これにより、母子の生活が変化し、生活の質が低下することとなった。また、様々な健康影響も発生している。こうした関連を単純化して図式化すると、下記のようになる。1,200 Fukushima Mothers Speak(成元哲・牛島佳代・松谷満) 175( 175 )