ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

形成に悪影響が生じる不安がある。一方の選択をしても他方の不安は残り、葛藤は続く。逃げ道としては保養や室内遊び場があるが、相当の費用が必要で日常的に利用することができない。また、室内遊び場は、自然に触れることができない等の意味でも外遊びの代わりにはならない。ウ検査いずれにしても、子どもの健康不安を完全に解消することはできない状況にある。そのため、子どもの検査に対する要望は多い。もっとも、すでに行われた検査の方法等に対する不満から、検査の信用性に疑問が生じている。これが子どもの健康不安を増長させているところもあり、本末転倒である。検査を適切に行い、そのプロセスや結果について可能な限り説明を尽くすという当たり前のことが求められている。なお、日常的な放射能対策としては、可能な限り被ばくを避けたいはずである。現に、積算計よりも線量計を必要とする意見がある。エ胎児の健康子どもの健康に類似する不安として、出産に関連する不安(胎児の健康不安)がある。福島で妊娠したり妊娠中を過ごしたりすることの不安は、「避難」に関する葛藤と類似するものがある。これに対し、放射能が流産(死産)の一因となっている疑念を払拭できないという不安は、対処のしようがない。科学的に因果関係が存在しないという説明を受けても、本人の抱く疑念は残るからである。1,200 Fukushima Mothers Speak(成元哲・牛島佳代・松谷満) 171( 171 )