ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

り、賠償されて然るべきである。しかし、東電の賠償は、被害の実態に応じたものではない。もう賠償してくれないのか。〉東電の賠償打ち切りに対する不満など、挙げればきりがないほどに指摘されている不満は、このような不安を表したものと考えられる。この不安は、家計負担の増加を補填できないという意識から、経済的な不安を増幅させる。経済的な不安が強くなれば、日々の生活を萎縮させるばかりでなく、家庭生活と、ひいては健康にも影響を及ぼしかねない。子どもに不自由な思いをさせることで心痛を受けている親も少なくない。より深刻な不安要素として、次のことを指摘することができる。すなわち、〈すでに発生している損害についてさえ賠償されないのだから、将来子どもに健康被害が生じても賠償してもらえないのではないか?〉このような不安である。例えば、「きっと将来、健康に異常がでても、原発事故の影響だとは感じてくれないと思うのが心配です。今の少しの賠償金で全て片付けられてしまうんだろうと感じます。」という意見は、この不安を率直に述べている。のみならず、あきらめの気持ちさえ読み取れる。9.2 社会保障ア子どもの健康子どもの健康被害に対し、予防・発見・賠償・補償が適切に実施されることが望まれている。これについては、前記「子どもの検査」に挙げた意見のほか、次のような意見があった。・「将来、子供達に万が一のことがあった時、事故との関連性がはっきりしない等で賠償・治療が受けられないということがないよう国にはお願いしたいです。」・「現時点での子供達の内部被爆ばく量や、体内不良は把握できても今後成長の過程において何かしらの問題が出てきた時の国や東電の対応について明確にしてほしい!!」158( 158 )