ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

い』という言葉を信じて今まで生活してきているため、自主避難している人達がわがままに見えて仕方ありません。」・「津波や原発のひなん区域の人ばかりがいい思いをしている。お金もらって、働かずパチンコ行って時間をつぶしているのが現状。家が残ればそれでOK、終わりなのか。なっとくいかない。同じ福島なのに。家がなくなる、家族がいなくなる。それ以上、悲しいことがないのは分かるが、あまりにも浜通りに住んでる人とその他に住んでる人の差がありすぎる。バカバカしい。」7.5 特徴原発事故は人間関係に重大な変化をもたらしている。その根底には、①原発事故や放射能をめぐる考え方に違いと②賠償の線引きに対する不公平感がある。①については、第1 に、原発事故後の対処行動、例えば、避難するかどうかなどに関して、相談・議論するような関係にある者との間の人間関係に影響を及ぼしている。考え方の違いがあることを認識した場合、「近所・知人」の関係であれば、〈相談や議論をやめる〉といった対応が一応可能である。ただ、この場合においても、本音や不安を口にすることができない、考え方を押し付けられるというストレスが生じている。これに対し、「夫婦・親族」との間では、〈相談や議論をやめる〉といった対応が難しい場合がある。特に、共同生活を営んでいる夫婦は、相談や議論をすることが避けられない。そのため、意見の対立によるストレスや関係の悪化・破綻が生じやすい。現に離婚にまで発展している意見もある。人間関係の破綻は、その過程および結果において重大なストレスが生じる上、家庭によっては経済的な不安が増幅されるなどの派生的な弊害が生じることとなる。第2 に、放射能の影響を受けていない、いわば「外部」との間では、汚染によるスティグマへの恐れがあり、それによる差別や偏見が生じること1,200 Fukushima Mothers Speak(成元哲・牛島佳代・松谷満) 149( 149 )