ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

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中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ダイレクトペイメントというしくみであった」(岡部2008 : 220)と、パーソナル・アシスタンスとダイレクト・ペイメントが一体的に実施される必要性を主張している。同様に、イギリスのダイレクト・ペイメントおよびパーソナル・アシスタンスについて紹介を行っている小川喜道もまた、「自らが求人・雇用して、必要な介助などを支持する関係こそ、自立生活の大切な要素であるとの主張が生まれた。この、障害者自身によって雇用された人をパーソナル・アシスタントと呼ぶ」とし(小川2005 : 12)、このパーソナル・アシスタンスと言う仕組みとその経済的保障を裏付けるためにダイレクト・ペイメントの法制度があり、「パーソナル・アシスタンスとダイレクト・ペイメントは切り離して考えることはできない」と述べている(小川2005 : 14)。近年では、イギリスは個人支援予算(Personal Budget)による本人責任での自由な使い方が認められる個人予算制度も実施され始めている。介助の担い手の労務管理をし、具体的な指示を出すには障害当事者自身に以下の3 つの要件が求められると岡部は指摘する。それは、「ケア管理能力」「金銭管理能力」「自己査定能力」の3 つである(岡部2006 : 116)。「ケア管理能力」は、介助者を募集し、介助内容について説明、契約、雇用し、訓練、監督を行い、必要であれば、契約を解消する、解雇する能力と言える。ダイレクト・ペイメントに基づくパーソナル・アシスタンスは、介助者によるケアのコントロールではなく、障害当事者によるケアのあり方の管理といえる。「金銭管理能力」は、行政からの予算の受け取り、介助者への給与の支払いといった障害当事者側の機能であると同時に、政策側が利用者に求める制度利用資格にあたる。「自己査定能力」は、介助者を監督し必要な指示を出すこと、自らを律する自律に関連する能力ともいえる。こうした能力がダイレクト・ペイメント実施のプロセスで必要となるとしながらも、岡部はこうした能力それ自体をサポートするアシスタントを日本における重度障害者の生活支援とパーソナル・アシスタンス(伊藤) 11( 11 )