ブックタイトル中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ページ
11/198

このページは 中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

中京大学現代社会学部紀要2014第8巻第1号

ネートしたうえで派遣する仕組みの採用については、当時の日本の状況、特に文化的な背景がある(伊藤2014)。しかしながら、ヒューマンケア協会では、介助者である他者をコントロールする障害当事者のトレーニング以前に、障害当事者が自己を肯定的にとらえる取り組みに力点が置かれた。それは、ピア・カウンセリングを積極的に取り入れることであった。ヒューマンケア協会の最初の発行物がピア・カウンセリング・プログラムの翻訳であり、翌年に自立生活プログラムマニュアルを発行していることからも、障害当事者自身のエンパワメントの重視と見て取れるだろう。3.パーソナル・アシスタンスの具体的な検討-海外動向の紹介と日本での実施への模索--1 自立生活センターによる海外視察と情報発信ヒューマンケア協会は、1986 年の設立当初から、継続して各国の自立生活センターの実践および介助システムのあり方についての視察、研修の実施、情報の収集と発信、日本における障害当事者主体の介助システムの具体的な検討、提案を行っている(注2)。ヒューマンケア協会による各国の介助システム、主にはパーソナル・アシスタンスおよびダイレクト・ペイメントの視察とそれを踏まえた日本での介助システムの具体的検討・提案は、1994 年の『ニード中心の社会政策』から活発に行われるようになる。海外においては、パーソナル・アシスタンスはダイレクト・ペイメントと一体的に運用されるのに比べ、現物給付サービスの提供が多い日本において、ダイレクト・ペイメントを実現するためには、法改正が必要となる。このため、自立生活センターによる自薦登録ヘルパー制度を発展・拡充させる形で日本における自己管理型介助料直接支給方式(自立生活センター等のサービス提供機関の法人組織を通して、介助料が本人の口座にわたり、本人が個人の介助者やサービス提供機関の法人組織と契約を結び、日本における重度障害者の生活支援とパーソナル・アシスタンス(伊藤) 9( 9 )