学習・研究活動

2017/08/31 [ニュース]

体育学研究科の大学院生が報告 米国のクウォン教授のゴルフ・スイング分析クリニックに協力

 私は、ゴルフのスイング動作研究のため、他大学を卒業後、この4月に大学院体育学研究科の修士課程に入学しました。

 叔父や兄がゴルフ指導者ということもあり、中学生時代にゴルフを始め、大学まで競技を続けてきました。高校生時代にはオーストラリアやニュージーランドへのゴルフ留学も経験し、大学2年生でゴルフ指導者の資格を取得しました。

 実際の指導現場でアシスタントコーチとして経験を積み、多くのゴルフ指導者と接する機会がある中で、どうすればより遠くにあるいは正確にボール飛ばすことが出来るのかといった動作のメカニズムを学ぶ必要があると感じ、中京大学大学院体育学研究科に進学しました。現在は応用スポーツ科学系に所属し、バイオメカニクスを学んでいます。

 入学してからゴルフ・スイング動作に関する先行研究の論文を読む機会が増え、バイオメカニクス分野でゴルフ・スイングを研究しているヤン・フー・クウォン(Young-Hoo Kwon)教授(Texas Women's University、アメリカ合衆国)の名前を知りました。クウォン教授は国際スポーツバイオメカニクス学会(International Society of Biomechanics in Sports)の会長で、タイガー・ウッズや4大大会優勝者のスイングコーチであるクリス・コモ氏の大学院における指導教授でもあります。ゴルフ・スイングについてのバイオメカニクス研究と、その知見に基づいた指導で有名です。

 6月中旬、私の指導教員である桜井伸二教授が、ドイツのケルンで開かれた国際スポーツバイオメカニクス学会で、友人であるクウォン教授と話し、中京大学でゴルフ・スイングのクリニックを行うことになったとのことです。クウォン教授の論文やその指導に強く興味を持っていた私にとって、まさに千載一遇の機会だと思い、非常に楽しみにしていました。

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クリニックにおけるフォースプレートとモーションキャプチャによるスイング分析

 クリニックは、豊田キャンパス18号館1階にあるバイオメカニクス実験室で行われました。女性プロ選手1名のスイングについて、フォースプレートとモーションキャプチャーシステムを用いてデータ取得します。その後、クウォン教授が開発した分析ツールで体幹捻転角度やスイング軌道を算出し、最大飛距離を伸ばす為に練習ドリルを使ってスイング修正するという内容でした。

 対象となったこのプロ選手は、バックスイングからダウンスイングにかけて肩の捻転角度が大きくなりすぎているという分析結果から、クウォン教授はダウンスイングに入る前に骨盤を先行させて捻じり戻す練習ドリルなどを紹介していました。

 このクリニックには、実践現場で活躍している指導者や競技者も多く参加していました。当日の私の主な役割は、スイングを撮影する際に必要な反射マーカーを選手の身体各部に貼り付けることでした。決められた部位に正確に貼り付けができるように準備をした他、機材の確認、安全を確保して打席と打球ネットを設置するなど、他の大学院生たちと予め入念にチェックしました。事前にクウォン教授から送られてきた実験の際に必要なファイルを開くことができず、英語でメールのやり取りをしながらトラブルを解決するといった経験もすることが出来ました。

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前日に行なわれたクウォン教授による講演

 前日には、「Bridging the Gap: Use of Biomechanics in Golf(バイオメカニクス研究と実践の間に架け橋を)」と題したクウォン教授による講演も、体育研究所の定例研究会として行われました。前日の講演会の内容を、翌日実技演習するような形になり、より理解が深まりました。

 クリニックを通じて、実験機材を使って得られたデータを分析して動作を修正していくという一連の流れを体験し学ぶ事ができました。しかし、その一方で、分析した結果を選手に伝えた後スイングを修正し、パフォーマンスを向上させるという目に見える成果には、クリニックのわずかな時間ではたどり着くことができませんでした。

 クウォン教授の講演とクリニックを通じ、動作を分析して実践に繋げるまでの過程には何が必要なのか考えるきっかけとなりました。また、大学院に入学して間もない私にとって、外国の研究者のお手伝いをすることは初めての経験で、視野を広げる良い機会となりました。これからも研究活動に励み、指導の現場に貢献できるよう日々精進していきたいと強く思いました。

(大学院体育学研究科修士課程1年 原田琢也)