名古屋の航空産業

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発表する「風立ちぬ」班メンバー

 

 零戦をはじめとする名古屋の航空産業に興味を持った私たちは、三菱重工を例に研究を行いました。先行研究から、木材の集積地であったことが航空産業発展の理由であると分かりましたが、木材以外の理由もあるのではないかと私たちは考えました。発表では、機体の材料である木材の利用方法、戦前期の名古屋の特徴、三菱の名古屋進出の経緯の3点の解明を目的としました。

 調査の結果、三菱が製作した初の国産艦上戦闘機である「一〇式艦上戦闘機」では、機体骨組の材料として木材が使用され、また機体軽量化のために使用された布も重要視されていました。

 名古屋は江戸初期の名古屋城築城の際に木材市場が整備されて以降、木材が集まる場所であり、また戦前期の名古屋では各地で木綿の栽培が行われ、製糸業や綿織物業が盛んでした。そのため、飛行機製作に必要な木材と布の入手が容易であったと考えられます。

 調査を進める上で、三菱の名古屋進出の背景には当初、潜水艦建造工場設置の目的が存在したことが判明しました。潜水艦建造にも木材が大量に必要であったことから、この地に白羽の矢が立ちました。しかし名古屋港の水深が浅かったことから、潜水艦の建造は行われず、やがて三菱が潜水艦建造と同等もしくはそれ以上に力を入れていた航空機製造が行われるようになりました。現在まで続く名古屋の航空産業のはじまりが、潜水艦建造にあったことが分かったときは驚きました。また、巡検先の各務原で「一〇式艦上戦闘機」と似た構造を持つ木製飛行機を実際に見学したことで、当時の飛行機の構造をより詳しく知ることができ、発表内容への理解を深めることにつながりました。

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かかみがはら航空宇宙科学博物館を巡検する「風立ちぬ」班メンバー

 踏査基礎演習では、特に浜松巡検と各務原巡検に力を入れました。「風立ちぬ」班のメンバー同士で力を合わせて、発表に向け遅くまで図書館に残り作業をした時間も良い思い出になりました。見やすくかつ分かりやすいように工夫したレジュメやパワーポイント、そして前日まで重ねた発表の練習が功を奏し、優勝を勝ち取ることができました。

(文学部歴史文化学科2年 蓮尾貴大)

 私たちの班のテーマは、自分があまり興味を持って調べたことがない分野でした。知識が少なかったことで、分かりにくい語句や表現をかみくだいた表現に改めることができました。班内での発表と違い、最終発表は、内容を知らない人たちに向けて説明するため、わかりやすく時間内にまとめるということを意識しました。

(文学部歴史文化学科2年 野村 有香)

 1年間踏査基礎演習の授業をしてきてまず思うことは、複数人での時間調節の難しさでした。巡検の時からグループ内で話していましたが、レジュメを作る段階で顕著に表れました。ゼミ内での発表の際には、準備不足な面が出てしまいました。最後の発表では調整もしっかり行うことができたので上手く発表することができました。しかし、発表の時の話す速度は速いままだったので、その点は修正していきたいと思います。

 パワーポイントには特に力を入れました。「ここをこっちに変えたら?」と相談しながら、見やすく、わかりやすく調整できたと思います。また巡検の場所にもこだわりました。

 苦労もありましたが、今回巡検・レジュメ作成・発表を行ったメンバーで発表できたことに感謝します。ここで学んだことを3・4年生時に生かしていきます。

(文学部歴史文化学科2年 服部 北斗人)

 踏査基礎演習はエアパーク、各務ヶ原航空宇宙科学博物館などを調査しました。チームの連携や自発的な調査、発表会に向けての準備など協調性と行動力が試される難しい授業だと感じました。特に苦労した点はレジュメの作成です。私たちがテーマに掲げているのは航空機であるため、興味・知識の少ない人が多いと思い、いかにそのような人にもわかりやすく伝えることが出来るか常に考えました。放課後に居残って、レジュメの構成を試行錯誤し、専門的な難しい言葉を使わないよう心掛けてました。

(文学部歴史文化学科2年 早川 僚一)

2016/03/03

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