公共編・ビジネス編合同で政策提案力競う
総合政策学部「社会人基礎力講座」の成果報告会

準優勝の山守さんのチーム

 総合政策学部の授業の一つである「社会人基礎力講座」の公共編・ビジネス編合同の成果報告会が、7月17日に名古屋キャンパス531教室で、松坂市の市長、NPO関係者、および、中部地方整備局の方らに公開する形で行われました。全13チームが発表し、ビジネス編は8チームが八事の老舗和菓子屋「株式会社 菓宗庵」の新店舗に対し、ビジネスプランの提案を行いました。公共編からは、防災に関するテーマで5チームが政策提案報告を行いました。

 優勝チームの発表 準優勝チームの発表

◆優勝
プラン名:①ママを呼びこむ手作りシュークリームキット!
       ②日頃の意識でストレスコントロール力をつける!
チーム名:Dチーム/健やかLIFE!
メンバー:岡本泰輔(3年)、石川萌、坪井春樹(2年)、志賀直人、水谷友里(3年)

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 私たち「Dチーム/健やかLIFE」は菓宗庵八事店における30~40代の集客の少なさと、新店舗建設予定地である豊田の立地に着目し、子育て中のママさん方をターゲットとしたプレゼンテーションを行いました。提案した新商品「手作りシュークリームキット」はママ会での手土産を想定し、上品で食べやすいこと、子どもと楽しめること、持ち運びに時間がかかっても味を損なわないことなどに重点を置き考案しました。そして、新店舗が注目され話題を集めるためのプロモーション戦略の考案にも力を入れ、豊田のママさん方に波及力のあるメディアや、子育て支援事業を調査し「子育て支援フリーペーパーPIPOの活用」「はぐみんカードへの協賛」「特設ページにおける手作りレシピの掲載やコンテストの開催」といった3つのアイデアを提案しました。

 またビジネス編では、この取り組みを行う一方、社会人基礎力の12の要素のうち向上させたい要素1つをチームで定め改善していく、社会人基礎力向上プロジェクトも同時に行いました。今期の講座では、「発信力」「柔軟性」「規律性」「ストレスコントロール力」などが改善項目として取り上げられました。

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ストレスコントロール2.jpgのサムネール画像

 私達のチームは弱点である「ストレスコントロール力」を向上させるため、まずストレスコントロール力とはどういった力であるか、日々のストレスに対し自分はその事象を翌日まで引き摺るか、感情や言動に目に見えて変化を感じたかといった自身の反応を調査しました。チーム内で調査内容を話し合った結果、ストレスコントロール力とは「ストレスが発生した場合に、そのストレスに対して対応できる力」とまとめられました。これをチームメンバーに当てはめて分析し、「納得のいかない事に対して、納得の行くまで話し合いをする」「気持ちにメリハリを付けて行動する」「消極的な発言を避け、積極的・ポジティブな言動を多く起こす」といった生活上の3つのストレス対策ルールを定め、数週間に渡りデータ収集し比較を行い、能力向上を図りました。最終的には、強いと感じられるストレス要因にも各自がルールを適応し柔軟に対応できるようになり、社会人基礎力テストのストレスコントロール力の項目をチームで約60%向上させることができました。

 2つの課題を短期間に、初めて会った学生同士で取り組んでいくのは困難でしたが、少ない情報量を補うために実際に対象商品を口にしたり、企業に直接足を運んで話を伺ったりと、メンバー各自が主体的に行動することで、提案や解決策を導き出すことが出来ました。取り組みの中で常に社会人基礎力を意識したことで自分に足りない能力と、逆に意外と優れている能力の存在を知ることが出来たと感じます。

 時間をかけ情報を集め調査分析をする真摯な姿勢が総合優勝という評価につながり、大変うれしく思います。今後も授業で培った社会人基礎力向上を意識し、自分を成長させるべく取り組みを続けていきたいです。

(総合政策学部3年 岡本 泰輔)


◆準優勝
 私たち4人(加藤亜美、後藤雅典、澤田有輝、山守翔也)が取り組んだテーマは、教師を鍵とした未来に向けた防災教育です。愛知県でも防災・減災カレッジという防災教育が行われていますが、電話で問い合わせてみたところ、学生の参加率が非常に低いことがわかりました。ホームページに掲載されている講習会の様子を写した写真を拝見しても、参加されている方が高齢者ばかりで、既存の防災研修は若者が参加しにくいという問題点が浮かび上がりました。

 この現状を踏まえ、私たちは大学の教職課程に防災教育を取り込むことを提案しました。政策を考えるにあたり、2011年に発生した東日本大震災の際に起きた宮崎県石巻市の大川小学校の事例を参考にしました。大川小学校では、教師による判断の遅れから避難行動が遅れ、結果として生徒68名、教師9名の命が津波により奪われました。この事例により、教師には防災に関する深い知識が必要であると考えました。

 先行事例としては、静岡大学の防災教育が挙げられますが、現在行われている防災教育は座学が中心の講義となっています。そのため、私たちはより実践的で有効な教育が必要であると考え、地域の消防局などと連携し、災害時に活用できる実技実習も取り入れていくことを提案しました。

 この政策を行うことにより、教師の防災知識が向上するだけでなく、教職の特性上、新たに小中学校等の防災教育の担い手となることが期待できると考えられます。また、防災に関する知識を教師から子どもへ、そして子どもから親や地域の大人に対し伝えていくことで、地域に還元し、地域の防災力を向上させることも期待できると考えました。

熱心に発表を聞く学生ら

 報告会では、こうした提案をパワーポイントに見やすくまとめた部分を評価され、準優勝をいただくことができました。しかし、審査員の方々から「提案自体は良いが、もっと具体的な部分の説明が欲しい」というご指摘を受けて自分たちの未熟さを痛感しました。

 今後も、総合政策プロジェクト研究報告会などの場面で政策提案をする機会があります。その時にはこの経験を活かし、実現することが可能な具体案を示し、より優れた提案ができるよう努めていきたいです。

(総合政策学部 山守 翔也)

2014/08/27

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