国際教養学部の2年生16人が中国で「海外課題研究」
上海大学と蘇州大学で語学研修を受けながら研究行う

中国におけるペット事情 中国におけるペット事情

 

 国際教養学部の2年生 76人が2013年8月―2014年1月に、それぞれが専攻する第二外国語に基づいてドイツ(デュッセルドルフ大)、フランス(レンヌ第二大)、スペイン(パブロ・デ・オラビデ大)、ロシア(サンクト・ペテルブルグ大)、中国(上海大、蘇州大)の5カ国に留学した。演習科目「海外課題研究」による留学で、1セメスター(1学期間)、提携先大学で語学研修プログラムを受けながら、それぞれ課題に挙げたテーマの研究を行った。

 中国に留学したのは上海大8人と蘇州大8人の計16人。語学力の向上とともに、研究成果を持ち帰った。


■「中国におけるペット事情」

酒井 未紗さん

 今回私は海外課題研究のテーマとして「ペット事情」を選びました。ペット事情を調査したいと考えた最大の理由は、中国では犬や猫などといったペットの代表である動物が古くから食用として扱われており、また現在でもいくつかの地域ではそういった文化が残っているため、中国でそもそも犬や猫などを「ペット」として考えるという概念が存在するのかを知りたいと思ったことにあります。

 具体的な調査方法としては、インターネットによる中国でのペット事情の調査、留学先の蘇州では街のペットの観察や蘇州大学の学生へのアンケート調査、街の人にもインタビュー調査を行いました。

中国におけるペット事情

 留学前の事前調査では、上海や北京などの大きな都市部ではペットを飼う人が増えているということ、一部地域では犬食・猫食文化が今でも続いているということなどが分かりました。

 現地での実際の調査では、大都市に限らず今回の私の留学先のような小都市であってもペットを飼っている人が予想以上に多いことが分かりました。街を歩いていると毎日何匹ものペットを見かけ、飲食店や服屋などの店の中では犬や猫が飼われている姿を多く見かけました。蘇州大学の学生19人に聞いたところ、17人が犬や猫などのペットを飼っている、または飼った経験があると答えていました。

 先ほどの大学生17人と街の人5人に聞いたところ、ペットに毎月平均300元、日本円で約4500円ほどのお金を掛ける人が全体の半数以上でした。日本での平均が約3000円~5000円ということを考えると、中国でも日本と同じくらいのお金をペットにかけている人が多く、それだけ金銭面でも愛情をかけていることが分かります。

中国におけるペット事情

 犬や猫などの動物を「食べるもの」ではなく「愛でるもの」として考える人が圧倒的に多いことも分かりました。さきほどの22人に対し、中国での犬食・猫食文化についてどう思うかを聞いたところ、文化を保護するべきだと答えた人はほとんどおらず、21人が文化を排除すべきであると答えていました。排除すべきであると答えた理由としては、「動物が好きだから」「可哀相だから」「人に癒しや喜びを与えてくれる大切な存在だから」といった意見がほとんどであり、犬食・猫食文化は反対傾向にあり、彼らを愛でる対象として考えているということが分かりました。

中国におけるペット事情

今回の調査を踏まえて、中国の古くから伝わる犬食・猫食文化が本当に排除されていくべきなのか、今後ますます広まるであろう中国のペット社会に伴い、ここから発生する諸問題、例えばマナーや命あるものを育てるという責任感、動物が置かれる環境の問題などに人々や政府がどう対処していくべきなのかを考えたいと思っています。

 今回の研究を進めていく中で一番苦労したのは、街の人にどのようにインタビュー調査をするかでした。現地の人は留学生の私のインタビューにも真剣に答えてくださり、現地の人の優しさを身を持って感じました。

 私は進路選択の際に、英語の他にもう一言語学びたいと考え、将来的にも役立つであろう中国語を選択しました。留学前まで私の中国に対するイメージは正直良くはありませんでしたが、今回の留学を通して、良い面も悪い面も両方知ることができました。中国は言語も国も知れば知るほど想像や予想とは違うことが多く、より興味が湧くということを実感しました。

(国際教養学部2年 酒井 未紗)

2014/02/21

  • 記事を共有