総合政策学部の国際法プロジェクト研究3年生
COP10関連イベントでボランティア活動や研究発表

  総合政策学部で国際法の研究をしている小山プロジェクト研究3年生が、10月に名古屋で行われた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)関連イベントで、会議運営のボランティア活動や交流フェア・フォーラムでの研究発表など様々な形で関わり、貴重な体験をした。

 

1.

「生物多様性条約第10回締約国会議のための先住民族準備会合」におけるボランティア活動についての報告

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CO10先住民族準備会合にて

  10月15(金)―17日(日)に中京大学名古屋キャンパス(アネックスホール)を会場に開催された「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)のための先住民族準備会合」には、全世界から約100名の先住民族が出席した。この会合で、出席者の会場までの案内、受付、通訳といった、会議運営にかかわるボランティアを行った。

2.

「生物多様性条約第10回締約国会議」本会議への参加

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COP10本会議の様子
(傍聴席から)

  「条約に関する最高意思決定の場である『締約国会議』に出席し、国家間の合意形成の瞬間を体験したい!」という願いが叶って、2010年10月18日~29日に名古屋国際会議場で開催されたCOP10本会議へ出席することができた。これは、事前にモントリオール(カナダ)にある条約事務局への登録手続が受理された結果、出席を許可されたものである。授業の合間を縫って、可能な限り会議場へと足を運び、全体会合、作業部会会合、閣僚級会合、名古屋議定書交渉、会議場内で行われる各種サイドイベントに出席し、条約形成ための意思決定の過程や、合意形成の瞬間を体験した。
  締約国会議への参加という貴重な経験を通し、直接自分達の耳で会議内容を聞くことで、各国のおかれている現状、どのようにして意見の違う国々の主張が調整されていくかなど、マスメディアの報道では分からないことを知ることができた。
  なお、会議最終日(10月29日)に採択された「名古屋議定書」については、現在プロジェクト研究(小山佳枝准教授担当)において翻訳チームを発足させ、日本語版を作成中である。

3.

生物多様性条約第10回締約国会議併催屋外展示会『生物多様性交流フェア・フォーラム』における研究発表

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COP10フォーラムで
プレゼンテーションをする学生

  COP10併催「生物多様性交流フェア・フォーラム」において、COP10の最重要論点となる「遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益の公正・衡平な配分」に関して、先進国・途上国・先住民という3つの対立点の現状分析と解決策の考察という観点の下、「ABS問題を3つの立場から考察し、生物多様性条約の問題点を探る」というテーマで研究発表行った。この研究は、今年の春から夏休みを挟んでプロジェクト研究3年生全員で一丸となって進めてきたもので、その成果を約40分にまとめてシンポジウム形式で発表を行った。

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COP10フォーラムで
プレゼンテーションをする学生と聴衆

  会場には、海外からも含めて一般の方々にも多くご出席いただき、研究発表を聞いてくださった方々からは、今後のさらなる研究に不可欠な様々な意見や感想、質問等をいただくことができた。発表終了後には、簡単なティー・レセプションを催し、多くの方々と交流を深めることができた。

4.

全体を通して

  2010年秋にCOP10が名古屋で開催されることになり、私たちは、「名古屋の街も段々とCOP10の雰囲気が盛り上がってくる」と考えていた。しかし、温暖化問題などと違って人々の認知度が高くない問題であるせいか、マスメディア等での報道も驚くほど少なく、一般の人々の感覚に乖離が生じてしまっていたと思う。これは日本政府が生物多様性に関する国内での政策を行う際の一つの課題点になるのではないかと感じた。
  今回、私たち国際法プロジェクト研究3年生は、小山佳枝先生の下、春学期から夏休みを通し、日々研究に邁進してきた。時にはメンバー同士での対立が起きたりもしたが、それもみんなの力で乗り越え、さらに結束し研究に取り組み続けることができた。また、フォーラムが近づくにつれ、日に日にメンバーの意識も高まっていき、今までには無かった団結力で発表をまとめることができた。その結果、COP10フォーラム本番では、多くの方々にご出席をいただき、 あのような成功を収めることができたのでないかと思う。
  今後は、今回のCOP10で新たに発見した様々な課題を踏まえ、小山佳枝先生のご指導の下、3年生一同さらに団結して研究に取り組んでいきたい。

(総合政策学部・小山佳枝プロジェクト研究 中平 汐梨、加藤 昂一)

2010/11/26

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