オリンピック・アカデミー(JOA)のユースセッション、豊田キャンパスで開催 初の合宿形式に高校生18人参加

  オリンピック・アカデミー(JOA)の第3回ユース・セッションが3月22日、中京大学豊田キャンパスを会場に2泊3日の日程で始まった。若者を対象とするオリンピック教育のセッションで、東海地方での開催は初めて。また、過去2回は講演イベントとして行われている。今回初めて高校生が3日間を共に過ごす合宿形式で実施され、愛知県の中京大中京高校、至学館高校、岐阜県立瑞浪高校の3校から計18人が参加した。

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セッションに参加の高校生、実行委員、ボランティアの学生たち

 
 22日は、中京大ダンス部の女子部員5人による歓迎のダンスパフォーマンスでオープニングセレモニーが始まった。続いて4号館431教室の会場にオリンピック賛歌が流された。1896年の第1回の近代オリンピックで演奏された後、楽譜の所在が分からなくなっていたが、1958年に見つかり、日本の作曲家、古関裕而によって編曲されたものが、その後、使用されているという。実行委員長の來田享子・中京大教授が、「オリンピックの開会式では必ず流れますのでぜひ、今度は注目してください」と参加者に呼びかけた。
 また、種田行男・中京大副学長が「中京大での開催は大変喜ばしい」と主催者あいさつに立った。種田副学長は、オリンピックレガシーについて、東海道新幹線、首都高速、体育の日など、64年の東京五輪の際の例を挙げながらわかりやすく述べ、「オリンピックムーブメントに関する学習、そして複数の学校から集まることでオリンピズムを体感してください」と激励した。
 そして來田教授はセッションを、近代オリンピックの父、クーベルタンの高潔な理想と純粋な道徳を学ぶ場でもあり、教科書にはないスポーツを体験し、みんなで意見を共有しよう、自己表現をしよう、と呼びかけた。最後に参加者ひとりひとりが自己紹介してセッションの成功を誓い合った。

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 午後には、「楽しく身体を動かす」と「古代ギリシャの走競技」と題したスポーツ体験をした。講師の勝亦紘一・中京大名誉教授の指導で、ウオーキング、ジョギング、ランニングの違いを学んだ。古代ギリシャの走競技は、神に捧げるものであったことから、絶対に公正に行われなければならなかった。現在のようなスタートの器具がなかった2500年前、スタートラインに張ったひもが落ちるのを合図にスタートが行われたらしいが、どのようにすれば公平なスタートが切れるかを考えた。参加者を3グループに分かれ、陸上のハードルや棒、ガムテープ、椅子など、近くにある道具を使ってアイデアを競い合った=写真上=。夕方からは仲間同士でYS(ユース・セッション)2016旗づくりに取り組んだ。

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 2日目の23日は、その多くの時間がレクチャーに割かれた。前日夕の「日本とオリンピックに」に続き、この日は午前に「オリンピックの理念」「現代社会とパラリンピック」、午後からは、ダンス場でのスポーツ体験=写真上=を挟んで、「世界の若者とオリパラ」「現代社会とオリンピック」「未来に向かって」と続いた。さらに国際ユースフォーラムを体験した人のゲストスピーチがあり、みっちりと座学中心に学んだ。最終日の24日は、YS2016旗の披露などが行われる。スポーツ体験ではパラリンピック種目を体験する。

記念写真に納まる高校生たち.jpg

  最終日の24日、参加した高校生たちは、すっかりみんなが打ち解けた表情になっていた。午前のスポーツ体験で車いすを使ったパラリンピック種目などを学び、昼食後には総仕上げの時間が訪れた。
 「他の人と協力し、他の人の意見を尊重しながらさまざまな取り組みを進めることは、まさにクーベルタンの理想だと思いました」「友情、協力など、大切なことを学びました。学校に戻ってもそれを生かしたい」「オリンピックは遠い存在ではなく、もっと身近なものだと感じました」など、ムービーに向かって一人ひとりが述べた3日間の成果をボランティアの学生たちや実行委員ら全員で聞いた。3日間での高校生の成長ぶりに目を潤ませる委員やボランティアの姿もあり
、それが今回のセッションの成功の証でもあった。
 また、3グループに分かれて創作していたYS2016旗がグループごとに披露され、そしてその3枚を貼り付けて1枚の大きな旗に仕上げ、高校生たちは記念写真に納まった=写真上=。18人には來田委員長から一人ひとりにディプロマ(修了証)が手渡された。

 

 

2016/03/23

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